配属ガチャ・上司ガチャの恐怖……新卒でハズレを引いたらどうする?

就職後に新卒を待ち受ける最初の難関が「配属ガチャ」「上司ガチャ」です。この記事では、企業でガチャが起きてしまう背景や、いわゆる「ハズレのガチャ」を引いたときに辞めるべきかどうかなどを考えていきます。

配属ガチャとは

一般的に「ガチャ」という言葉は、カプセルトイやソーシャルゲームでアイテム等を引くことを指します。ガチャはランダムで排出されるため、実際に出てくるまで何が出るか分かりません。

これと同じく、新卒からすると配属先というのは運要素が強いものです。あらかじめ希望を聞いてくる企業も多いですが、だからといって必ずしも希望通りに配属されるとは限りません。都内近辺が良いと希望を出したのに地方へ配属されたり、海外関係の飲食事業部を希望したのに国内の美容事業部に配属されたり、システムの仕事を希望したのに営業に配属されたり……。

配属ガチャという言葉が生まれた背景には、日本の古い体質と若者の志向とのギャップがあります。日本では総合職という名目で多数の新卒を一気に採用するのが主流です。最初から「この部署には何人入れる」といった具合に配属先を決定していたうえで求人を出しているわけではなく、大雑把な必要人数を算出して採用しているにすぎません。

今までだったらそれでも良かったのでしょう。しかし、近年はキャリアに対する考え方が変わってきており、若者の多くは専門性を磨くなどの自己実現を重視するようになってきました。そのため、自らの描くキャリアプランにそぐわない配属だと大きな抵抗を感じ、仕事に対するモチベーションやパフォーマンスの低下につながってしまうのです。

いわゆる配属ガチャでハズレを引いた場合、そこでは馴染めない可能性が高く、結果として早期退職を決断する新卒も少なくありません。このような問題を解決すべく、最近は欧米のようなジョブ型採用が広がりつつあります。特に勤務地に関しては新卒自身に限らず家族や恋人、友人関係にも大きく関係するので、勤務地をあらかじめ絞って募集・採用する制度を取り入れている企業が出てきました。また、一定のスキルを有する人を対象に、配属先を確約して新卒採用する企業もあります。

とはいえ、こういった動きはまだ少数。配属ガチャがなくなるのは当分先のことでしょう。

上司ガチャとは

たとえ希望通りに配属されたとしても、そこで一緒に働く人がどんな人なのかは配属されるまで分かりません。特に、教育係になる直属の上司との相性はとても重要です。もしかしたら配属先以上に新卒の今後を左右するかもしれません。

これほど重要な存在にもかかわらず、新卒は上司を選べません。仕事をきちんと教えてくれなかったり、責任を押しつけてきたりする、望ましくない上司に当たってしまうこともあり得ます。

上司ガチャという言葉が生まれた背景にも、やはり日本特有の事情が……。日本は年功序列が根強く、実力主義を謳いながらも結局は年齢・勤続年数による評価を受けやすくなっています。また、プレイヤーとして優秀であれば上の役職に就けるのが特徴です。

しかし、部下をマネジメントするスキルとプレイヤーとしてのスキルはまったく違います。海外では部下をマネジメントし、導くためのリーダーシップを学ぶ機会が用意されているのが普通ですが、日本では上司を育成するためのプログラムを用意している企業はごくわずかしかありません。そのため、部下を育てて出世させるどころか、自己保身に走って部下を潰す上司さえいます。

つまり、「上司=部下を導く人材」とは限らないのです。だからこそ、上司が誰になるかは運しだいと皮肉った「上司ガチャ」という言葉が出てきたのでしょう。

配属ガチャや上司ガチャで外れたら

キャリア形成にあたっては、配属先や上司が大きく影響してきます。配属ガチャや上司ガチャでハズレを引いてしまった場合はどうしたら良いのでしょうか。ここからはハズレを引いてしまった場合の対応について見ていきます。

①スキルアップに徹する

新卒のうちは知識、経験、能力が未熟なので、なかなか希望が通りにくいのが現実です。それでも希望を主張してしまうと「こらえ性がない」「わがままだ」と思われかねません。実績もなく配属先のこともよく分かっていない状態なので、当然といえば当然です。

そのため、最初のガチャに外れてしまってもひとまず配属先でスキルアップすることをおすすめします。しっかり実績を積むことができれば、運任せのガチャではなく配属先を自分で選びやすくなるからです。何であれ一つのことに精通することは、社会人としての武器を手に入れることに繋がります。知識や経験、能力を磨くことはキャリアアップにも直結するので、まずは今の業務に集中しましょう。

また、実際にその業務に携わることで自身の視野が広がったり、その業務の面白みを感じたりすることもあります。ただし、上司があまりにも酷い場合には、この後紹介する「異動」「転職」を検討した方が賢明かもしれません。

②異動願を出す

配属先に不満がある場合は、転職よりもまず異動を考えましょう。転職よりも異動の方が低リスクかつ、手間が少ないからです。ただし、社員の都合で異動する場合は、その異動に正当性がないと実現は難しいでしょう。

ですから、異動する理由が自分の都合のみに偏ってはいけません。異動によって会社側が得られるメリットを提示する必要があります。以下の例を見てみましょう。

異動願の理由例
入社してから3年間、営業としてお客様と直に接してきました。これまでに関わったお客様の数は2,000名を超えます。
このように営業活動をする中で、お客様に対して説得力のある説明をするためにはマーケティングに関する知識も必要だと考えるようになりました。また、お客様からは忌避のないご意見も多数頂いており、サービスの改善点も見えてきたと感じています。
現在は独学でマーケティングを学んでいますが、ぜひサービスの企画・開発から宣伝まで携わるマーケティング事業部で知識を深め、それと同時にお客様のニーズに沿ったサービス提供をすることで、会社全体の売上に貢献したいと考えています。

このように、今までの経験や実績を異動先でどう活かせるのかを示すと効果的です。

また、異動の際は直属の上司に相談するのが原則ですが、上司ガチャに外れてしまった場合はまともに対応してもらえない恐れがあります。そのような場合は、より高い立場の上司に異動を相談しましょう。

③希望先に異動を打診する

異動願は必ずしも受理されるわけではありません。そのため、異動願を出す前に希望先の部署へ打診しておくのがおすすめです。その部署、ひいては会社のメリットになることがアピールできれば、希望先の部署で異動を後押ししてくれる可能性があります。

場合によっては異動願を出すことなく、直接引き抜いてもらえるかもしれません。今の配属先の上司とは異動先の上司が話をつけてくれるので、ストレスも少なく異動しやすいです。

④転職する

異動も叶わず「これ以上続けることはできない」と思ったら、最終手段が転職です。会社ごとに申し出の期間が定められているので、就業規則や雇用契約を確認したうえで余裕を持って退職届を出しましょう。

ただし、転職先でも配属ガチャや上司ガチャが起こる可能性があるので注意が必要です。配属ガチャを避けるには、勤務先が一か所しかない企業を検討する、あるいは勤務地・職種を限定して求人を出している企業に絞り込むのがおすすめです。

また、上司ガチャをできるだけ避けるためには、選考時に社内見学をお願いすると良いかもしれません。少人数の会社や部署であれば、入社後のミスマッチを防ぎやすくなるでしょう。

実は新卒ガチャもある

ここまで新卒側の視点から、配属ガチャや上司ガチャについて見てきましたが、立場を変えるともう一つのガチャがあることに気づきます。いわゆる「新卒ガチャ」です。学生のときから突出した能力を持っている人は少なく、企業の多くはポテンシャル採用をしているというのは周知の事実。しかし、ポテンシャルは数値化できるものではなく、人事の判断にゆだねられているところが大きいです。そのため、実際に業務をさせてみたら思っていた人材と違ったということもあり、企業側にとっても新卒採用はガチャ要素があるものになっています。

配属ガチャ、上司ガチャ、新卒ガチャ……。残念なことに人事関係はガチャばかりです。このような状況を嘆いているだけでは、いつまで経ってもガチャを回すしかありません。自分の希望を叶えるためには、強みと言えるものを見つけ、伸ばし、発信していくことが必要です。

また、できる限り相手に対してオープンでいることも欠かせません。企業側・応募者側の双方が、それぞれの状況やステータス、実績などをしっかり伝えあう姿勢を作ることで、運任せの状況が発生しにくくなるはずです。

配属ガチャに外れても泣き寝入りしない

日本の採用はガチャだらけ。当たれば儲けものですが、外れたときのショックは大きいですよね。だからといって投げやりになったり、ひたすら我慢したりしていても解決にはなりません。周りに対して積極的に働きかけていくことが大切です。その際にはぜひ今回ご紹介した内容を参考にしてみてください。

また、ハズレにも程度がありますが、ブラック企業やブラック上司などの大ハズレを引いてしまった場合には、何よりも自分を守ることを優先しましょう。事情が事情なので、早期退職をしたとしても転職活動にはそれほど響かないはずです。配属ガチャや上司ガチャが原因で辞めたいと悩んでいる方は、ぜひ下記のコラムも読んでもらえたらと思います。

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