【例文あり】新卒が会社を辞めたいときの退職理由と上手な伝え方
新卒として入社したは良いものの、さまざまな事情で退職を考えることもあるでしょう。ですが、入ったばかりなのに「退職します」とは言い出しにくいですよね。そもそも退職するということ自体が初めてなのですから、退職理由の伝え方や申し出る時期に悩んでしまうのは当然です。そこでこの記事では、退職までの流れや納得してもらえる退職理由など、新卒で会社を辞めたいときに役立つ知識をお伝えします。
目次
知っておきたい退職の流れ
正社員として会社を辞める場合は、アルバイトのときよりも必要な手続きが多くなります。また、しっかり段取りを付けて事を進めることが重要です。まずは退職を伝えるときから退職日までの流れを押さえておきましょう。
①上司に相談を持ちかける
退職するにあたり、最初にやるべきことは上司に退職の意思を伝えることです。その後の引き継ぎ等にも関わってくるので、部長や課長ではなく直属の上司に相談しましょう。ただし、いきなり退職したいと伝えたり、メールで済ませたりしてはいけません。まずはアポイントを取って、相談する時間を設けてもらうことが大切です。アポイントを取るときはメールやメッセージチャットでも構いません。以下の例文を参考に切り出してみましょう。
実は折り入ってご相談したいことがあるのですが、近日中に15分ほどお時間を頂くことは可能でしょうか?
私は○日の△時以外は空いておりますので、○○さんのご都合の良い日時を指定していただければと思います。
お手数をおかけしますが、ご検討のほどよろしくお願いいたします。
なお、多くの会社では退職日の1~2か月前までに退職の意思を申し出るよう、就業規則で定められています。自社の就業規則を確認したうえで退職日から逆算し、余裕を持って相談を持ちかけましょう。
②退職の意思を伝える
アポイントが取れ、相談日時になったらいよいよ退職の意思を伝えます。ですが、いきなり退職したいと伝えるのは好ましくありません。以下の例文のように進めると角が立たないので受け入れてもらいやすいです。
○○さんには日頃からお世話になっている中で大変申し訳ないのですが、退職させていただきたいと思い、お時間を頂戴しました。本日は退職日や引き継ぎなどの必要な手続きについてご相談できればと思います。
この際、既に退職の意思が固まっているにも関わらず「実は退職を検討していまして……」などと曖昧に濁してはいけません。でないと、この相談の時間が引き留めの時間・説得の時間になってしまうからです。退職すること自体は既に決めており、退職までの具体的なスケジュール等を相談したいのだということが伝わるように話してください。
③退職までにやることを決める
上司との合意が取れたら、退職日から遡っていつまでに何をすべきなのかを洗い出しましょう。上司だけでなく、一緒に業務をするなどで関係のある社員には速やかに伝え、引き継ぎのスケジュールを立ててください。
基本的には上司から具体的に指示があるはずなので、その通りに従っていれば問題ありません。新卒のうちは割り振られている仕事も少なく、たいていは重要度が高くないものなので、何かトラブルが起きることは考えにくいですが、念のためリストなどを作って抜け漏れのないようにすると安心です。
ちなみに、入社してから退職するまでに半年間が経過している場合は、10日間の有給休暇も付与されます。有休の消化についても相談したうえで、最終出社日までに諸々の手続きが終わるように調整しましょう。
④退職願(退職届)を出す
退職日が決まったら、③の作業と並行して退職願または退職届の作成・提出をします。退職願は会社に退職したいと願い出るもの、退職届は会社に退職の意思を明確に示すものです。そのため、退職届を出せば記載の日に退職することが可能ですが、退職願を出して一段階挟んだほうが丁寧です。
また、会社によっては退職願を提出してからでないと退職届を受理できないという場合も考えられます。このあたりの細かいことは、上司または人事部に聞いてみてください。
退職願や退職届の書式について、多くの会社では特に定められていません。指定がない限り、手書きでも印字でも問題ないでしょう。また、上司に話したときにきちんと退職に納得してもらっているので、理由を記載する箇所は下記の通り「一身上の都合」で大丈夫です。
退職願(退職届)の例文
※退職届の場合は「退職したく、ここにお願い申し上げます。」を「退職いたします。」に変えればOKです
⑤身辺整理・挨拶をして退職する
デスクやロッカー、資料、パソコンの中身などを整理し、後に残る社員に迷惑がかからないよう片づけます。また、お客様や部署内の人間だけでなく、関わりのあった部署にも挨拶に行くと円満に退職しやすいでしょう。挨拶回りの際にお菓子を用意する場合は、個包装で配れる3,000円程度のものを選ぶと良いですね。社員一人あたりにかけるお菓子の相場は100~150円ですが、人数が多い場合には3,000円以内で収まるように一人あたりの予算を下げても問題ありません。
それから、会社の備品である社員証や社用携帯などの返却も必須です。健康保険証も最終出社日に忘れず返しましょう。退職時は会社から受け取るものもありますが、こちらに関しては自分で手続きをする必要はありません。最終出社日を無事に迎えられれば、そのまま退職できます。
新卒でも言いやすい退職理由と伝え方
新卒のうちに退職するということは何か相当な理由があるのだと思います。ですが、必ずしも本当の退職理由を素直に言えば良いというわけではありません。ビジネスの世界では人付き合いの良さも大切な要素。円満退職するためにも、角の立たない退職理由を用意しましょう。嘘をつくことを推奨するわけではありませんが、何とかポジティブに言い換えるなどして、会社の人に納得してもらい、快く送り出してもらえるような理由を伝えるのが望ましいです。
待遇や環境に不満がある場合の退職理由
- 自身のスキルアップのために資格を取りたいので、勉強時間を確保するために業務量の調整ができる仕事をしたい
- 歩合制の会社でどこまでできるか挑戦し、自分を叩き上げたい
残業が多い、給与が業務内容に見合っていないなど、待遇や職場環境に不満を感じて退職する方は少なくありません。しかし、だからといって気持ちのままに不満を伝えてしまうと、改善するから退職を踏みとどまらないかと執拗に説得される可能性があります。退職を固く決意しているのであれば、会社に不満を伝えたいという場合でも例文のようにオブラートに包んだ方が賢明です。
あるいは、初めの段階では退職理由としては伝えずに、退職の合意が取れて退職届を提出した後で人事部などに不満を申し出るのが良いでしょう。
仕事内容に不満がある場合の退職理由
- BtoBではなくBtoCの商品開発に携わりたい
- お客様の顔を直接見られる仕事がしたい
- 以前から興味のあった会社で求人が出た
待遇や人間関係は悪くないものの、仕事に面白みを感じない場合や、扱う商品やサービスに自信を持てない場合なども退職を決める理由になります。ですが、やはり会社への不満はそのまま伝えない方が無難です。
特に新卒の場合だと「まだ経験が足りないからそう思うだけだ」「もう少し続けてみればやりがいが感じられる」「今の仕事を頑張れば異動できるから」など、さまざまな理由で引き留められやすい傾向にあります。もちろん上司の言うことにも一理あるので、しっかり現状を把握したうえで適切な判断をしたいというなら良いでしょう。
しかし、退職の意思が固まっている場合には状況がややこしくなるだけです。そのため、まだ若く将来有望な新卒としての強みを活かし、自分がしたいことに焦点を当てた理由に変換することをおすすめします。
他にやりたいことができた場合の退職理由
この退職理由に関しては、前向きな理由なのでそのまま伝えても問題ありません。下手に隠したりごまかしたりするより、退職理由として説得力があります。
ですが、やはり新卒ということで「もう少し経験を積んでからの方が良いのでは」「本当に上手くやっていけるのか」など心配する一心で引き留められることはあるかもしれません。このような場合は、思いつきや衝動ではなく、じっくりと熟考した結果であることが伝わるように、ある程度具体的な計画や転職先の教育・実務事情を伝えるのが良いでしょう。
また、営業から事務やマーケティング関連の別職種に就きたいという場合にも要注意です。その業務が現在の会社でもできるものだと、引き留められやすくなってしまいます。その場合、今の会社ではできないことがある旨をアピールできると、上司にも納得してもらいやすいですよ。
病気や怪我に原因がある退職理由
病気の原因・症状や怪我の程度にもよりますが、このような場合であれば会社としても了承せざるを得ないので、正直に理由を伝えるのが良いでしょう。ただし、会社の中には社員の体調不良に無頓着なところもあります。心ない言葉をかけられることもあるかもしれませんが、病院でもらった診断書を持って行くと効果的です。
また、あなたの状況や伝え方によっては、退職ではなく休職を勧められることもあるでしょう。ちなみに、退職後に失業手当が出るのは入社後1年経過した人に限られます。1年未満の場合で、実家などに頼れる状況ではない場合、休職して傷病手当を受け取るのも選択肢の一つです。新卒であれば貯蓄もそれほどない方がほとんど。退職よりも休職の方が良いケースも考えられます。会社側ともよく相談したうえで身の振り方を決めましょう。
人間関係に理由がある退職理由
部署異動で解決することもあると思いますが、人間関係や人の心は非常に複雑です。どうしても同じ会社で働きたくないという方もいるのではないでしょうか。このような理由で退職する場合、ポジティブに言い換えようとしても「仲間と高め合える環境で切磋琢磨したい」「アットホームな職場でのびのびと働きたい」という内容になるので、裏を返せば今の会社はそうではないということになってしまいます。これでは皮肉や当て擦りと思われかねません。
納得してもらえたとしても、退職日まで居心地の悪い空気を味わうのは嫌ですよね。そのため、人間関係に問題があるのであれば、この記事でご紹介している他の理由を伝えるのが良いかもしれません。もっとも、セクハラやモラハラが横行していた場合は話が別です。証拠があればそれを提出し、きちんと事実関係を伝えましょう。
その他の役立つ退職理由
- 結婚/出産のため
- パートナーの転勤で引っ越すため
- 家族の看病/介護のため
- 学業のため
今でこそ寿退社の数は減っていますが、まったくないわけではありません。パートナーの親と同居する、育児と両立しにくい業務内容であるといった理由があればなおさらです。
パートナーの転勤や家族の看病・介護についても、各家庭それぞれに事情があるので会社からは突っ込まれにくいでしょう。
学業に関しては、新卒ならではの退職理由です。まだ若い新卒であれば、「大学院を目指す」「留学をする」「専門学校に通う」などの退職理由も不自然ではありません。
退職理由は伝え方が肝心!
今回見てきたように、退職理由の伝え方を工夫することで、入社後まもない新卒であっても円満退職することができます。とはいえ、すべての会社ですんなりいくわけではありません。いわゆるブラック企業の場合は退職を受け付けてもらえない可能性があります。また、やはり新卒ということで退職を切り出しにくいという方もいるでしょう。
このような場合の強い味方が退職代行サービスです。今回の記事を読んだうえで、やはり自分では退職できないという方は、退職を申し出るところから実際に退職するまでの手続きをサポートしてくれる退職代行の利用を検討してみるのも良いかもしれません。おすすめの退職代行サービスについては別の記事にまとめているので、興味のある方は下記のボタンからご覧になってください。