新卒の離職率は3割!?新入社員の退職理由と退職代行の利用状況

新卒の離職率は3割!?新入社員の退職理由と退職代行の利用状況

新卒で入社したものの、なかなか思うようにいかないという経験は多くの方が持っていることでしょう。仕事や職場とのミスマッチを感じている方もいるかもしれません。そんな日々が積み重なるうちに会社を辞めたいと思うようになるのは当然と言えます。

そのとき、新卒の場合はどのような退職理由で辞めるのでしょうか。今回は新卒に多い退職理由や、若者によく利用されている退職代行についてご紹介します。

新卒の離職率はかなり高い

厚生労働省「新規学卒就職者の学歴別就職後3年以内離職率の推移」より作成

厚生労働省が発表したデータによると、学歴別の新卒離職率は最も低い大卒で31.2%、最も高い中卒で55.0%となっています。つまり、少なくとも新卒の10人に3人が3年以内に退職するということです。1年目だけでも10人に1人が辞めている計算になります。

ひと昔前は「とりあえず3年」という言葉が囁かれ、実際に3年間耐え抜いた人もいました。しかし、3年経ったからと言って格段に経験や能力が向上するわけではありません。向き・不向きは1年目でも3年目でも同じです。また、たった3年では職場環境や社内体制が改革されるはずもないでしょう。3年間というのは採用・教育コストをかけたくない企業側の都合により設定されためやすの数字なのです。

このように新卒の退職は珍しくないので、入社3か月未満での退職や懲戒解雇でない限り、転職にも影響はありません。むしろ、下手に年齢が上がると転職市場では売れ残りやすくなるので、なるべく良い条件での転職を求めるのであれば、第二新卒として扱われるうちに転職した方が良いのではないでしょうか。

新卒の退職理由

入社3年以内の退職理由 割合
1位:仕事内容が合わない 21.5%
2位:人間関係が悪い 20.1%
3位:勤務時間・休日への不満 19.7%
4位:収入を上げたい 11.2%
5位:他の仕事がしたい 9.8%

Biz Hitsのアンケート調査結果より作成
※小数第2位で四捨五入

上の表は2021年6月~7月の間に、新卒3年以内で転職経験がある人に向けて行われたアンケート調査の結果です。

1位は「仕事内容が合わない」でした。アンケートに寄せられた内容によると、希望ではない部署に配属されたり、聞いていた仕事内容と違っていたりで、本当に自分がやりたい仕事ではなかったというのが主な意見です。

1位に僅差で2位の「人間関係が悪い」、3位の「勤務時間・休日への不満」が続きます。人間関係については、自分が直接いじめなどの被害を受けたわけではなくても、上司と別の社員が連日怒鳴り合っているような環境が嫌で辞めたという人もいました。
残業の多さや休みの取りにくさは、俗に言うブラック企業や不規則な勤務が多い業種に目立ちます。「新卒でも残業代で稼げたが、お金より時間が欲しいと思うようになった」という声もありました。

この結果からも分かる通り、ほとんどの新卒はネガティブな退職理由で辞めていることが分かります。しかし、転職活動中は必ず退職理由を聞かれるので、面接官へ良い印象を持ってもらえるような退職理由に上手く繋げなければなりません。長所と短所は表裏一体。ネガティブな退職理由はこじつけてでもポジティブな退職理由に変換しましょう。

ネガティブな退職理由 ポジティブな退職理由
仕事内容が合わない 自分の能力を発揮できる仕事がしたい
人間関係が悪い お互いを高め合える環境に身を置きたい
勤務時間・休日への不満 業務効率化を図り成果を上げたい
収入を上げたい 実力や成果を実感しながら働きたい
他の仕事がしたい 今の会社ではできない仕事をしたい

いかがでしょうか?
上記を参考にしながら志望理由とも結びつけられるような退職理由を考えてみてください。

新卒の退職代行利用は意外と多い

新卒なのに退職代行を利用するのはリスクがあるのではと不安に思う方もいるかもしれませんが、実は退職代行の利用者は大半が20~30代の若者です。そのうち、新卒の利用もかなり多い傾向にあります。ただし、入社してすぐに辞めたいと思ったとしても、その気持ちのままに退職代行を利用するのは避けましょう。

なぜなら、退職代行を利用すればほとんど確実に辞められるからです。多くの退職代行は退職率100%を謳っています。ですから退職代行に依頼したが最後、退職は確実なものとなるので後悔しても取り返しがつきません。

とはいえ退職代行に事前相談をするだけなら、むしろおすすめです。第三者に話を聞いてもらったり、さまざまな退職者を見てきたプロの意見を聞いたりすることで、おのずと進むべき道が見えてくるでしょう。新卒と呼ばれる間に会社を辞めたいと思ったら、納得のいく結果を迎えるためにも一度冷静になることが必要です。これから紹介する各ケースのどれに当てはまるのかを考えながら、退職代行の利用、ひいては退職するかどうかを検討してみてください。

提示されていた就労条件と異なっている

  • 残業なしと言われていたのに毎日残業がある
  • 残業代を支給されるはずがサービス残業ばかり
  • 事務として就職したのに入ってみたら営業だった
  • 研修期間が過ぎても本来の部署に配属されない

実際に入社してみたら事前に提示されていた条件と大きく異なっていた場合は、退職をするのに正当な理由があると言えます。このような会社はブラック企業である可能性が高く、辞めたいと申し出たところですんなり受け入れてくれないかもしれません。そのまま我慢したり、対峙したりしても良い方向には進展しないでしょう。面倒ごとに時間や気力を費やすよりは、退職代行を利用してスマートに辞めるのも一つの手です。

ただし、「聞いていた/書かれていた内容」と違ったわけではなく「思っていた内容」と違ったという場合には、一度考え直してみる必要があります。自身の能力が足りていないがために上手くいかないというケースや、成長を促すために一時的な業務を割り振られているというケースもあるからです。

それに、初めて社会に出るのですから、思っていた内容と違うのはある意味当たり前と言えます。まずは経験者である上司や先輩に自分の感じていることや現状をそのまま相談してみてはいかがでしょうか。将来的に自分がやりたい仕事ができるのか、なりたい自分になれるのかという点をしっかり見極めることが大切です。

ハラスメント(いじめ)がある

セクシャルハラスメント、パワーハラスメント、モラルハラスメント、マタニティハラスメント、アルコールハラスメント……。この頃は、さまざまなハラスメントが問題視されています。このように何らかのハラスメント被害に遭った場合、または社内でハラスメントが蔓延している場合には、早くに見限って退職してしまった方が良いでしょう。

ハラスメントは被害者側を委縮させるだけでなく、加害者側の地位が高かったり信頼が厚かったりすると社内で相談することが難しいデリケートな問題です。そのまま我慢して働き続けたものの精神を病み、取り返しのつかないことになってしまった例もあります。

ハラスメントは人権侵害を意味する言葉です。嫌がらせやいじめの類はすべてハラスメントに分類されます。不快感や不利益を生じさせ、尊厳を傷つける行為はハラスメントとして定義されるので、加害者側の意識は関係ありません。

「自意識過剰なだけかも」「責められるのは自分に原因があるから」などと思うのは間違いです。自分の判断に自信を持てないようであれば、第三者に相談してみてください。きっと納得のいく結論が出せるはずです。退職代行業者は相談者が実際に依頼しなかったとしても親身になって話を聞いてくれます。ほとんどは無料で相談を受け付けているので、迷っている方はぜひ連絡してみてはいかがでしょうか。

別の仕事に興味が湧いてきた

社会に出て実際に働いてみることで、学生時代とは価値観が変化することもあるでしょう。それに伴って興味の方向性が変わり、別の仕事や職種に就いてみたいと思うのは自然なことです。真剣にその道を志すのであれば、新卒のうちに退職するのも良いと思います。遅すぎるということはあっても、早すぎるということはないからです。早くに取りかかった方が何かと都合が良いですし、たとえ失敗したとしても若いうちなら取り返しがつきます。

もし、自己都合で辞めるのが申し訳ない、入社早々に辞めることになり顔を合わせるのが気まずいというのであれば、退職代行を利用して未練ごと断ち切るのも一つの手です。

ですが、これだけは確認しておきましょう。
その仕事は今の会社ではできないことなのでしょうか?

別の部署に異動すれば実現できる、あるいは今の仕事で実績を出して新しい事業として提案する。いろいろな選択肢が考えられます。せっかく入った会社です。今の会社でできるなら、それに越したことはないでしょう。
転職活動中もこのことについて聞かれます。そのときに自信と根拠を持って、それでも転職したいのだと答えられないのであれば、今の会社で実現する道を探してみるのが賢明かもしれません。

新卒でも退職して良い

「石の上にも3年」ということわざがある通り、何事も最低3年は続けてみないと成果は出ないといわれることが多いです。だからといって、3年経てば必ず成果が出るのかと言われればそうとも限りません。結局のところ、どんな環境に身を置くか、そこでどれだけ努力をするかにかかっています。

何か思うところがあって退職を考えているのであれば、別の道を検討してみることで「自分にとっての成果」に近づくかもしれません。今回ご紹介したように、新卒でも早々に退職して新たな場所で活躍している人はたくさんいます。あなたにとっての分岐点は、まさに今なのではないでしょうか。

退職したいけれど事情があって自分では退職を切り出せない、あるいは引き止められたという場合には、退職代行を利用することもできます。決断さえすれば何でもできるのが若さの強み。どうか自分にとって一番良い道を選んでください。