退職代行のトラブル(失敗)事例と回避する方法

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近年増えてきた退職代行サービス
自分から会社に「辞めたい」という旨を伝えなくても、会社を辞められるサービスとして人気を博しています。例えばブラック企業などで働いていて会社へ行く事が精神的にしんどくなり、もう明日から会社へ行きたくない、辞めたい、というところまで自分自身を追い詰めてしまった場合などに活用できるサービスです。
即日退職にも対応している退職代行サービスが多く、依頼すると決めた日のうちに会社に退職の意向を伝えてくれます。

しかし、こういった退職代行サービスを利用して、果たして本当に何のトラブルもリスクも無く退職できるものなのでしょうか。会社側から訴えられたり、自分にとって不利益な事が起きたりする事はないのでしょうか。

今回は、退職代行サービスにまつわるトラブル事例や失敗事例と、それを回避するためのポイントをご紹介します。

退職代行サービスにおけるトラブル事例や失敗事例

それでは、実際に退職代行サービスにおけるトラブル例や失敗例を見ていきましょう。
ほとんどの退職代行サービスはきちんとした運営の上で退職代行を遂行しているため、このようなトラブルは起こり得ないと言えますが、悪徳業者に引っかからないためにもトラブルや失敗例については掌握しておきましょう。

退職そのものに失敗する

まず、退職そのものができない、というケースです。
多くの退職代行サービスが「成功率100%」を謳っていますので、このような実績や成功率を公式サイトなどに明記してある退職代行サービスであれば、退職の失敗を心配する事なく安心して任せて大丈夫です。
中には「ほぼ100%」としている業者もありますが、よくよく見てみると、依頼者の方と会社で交渉をした結果、依頼者自身が納得の上で「休職」という形で落ち着いたため「ほぼ」としている事が分かりましたので、このようなケースもあるようです。

逆に、成功率100%を謳っていない業者は避けた方が賢明でしょう。
なぜなら、退職の意向を伝えたにも関わらず退職できなかった場合、会社の中での立場も弱くなりますし、とても気まずい思いをしますし、何よりも辞めたいと思っていた会社に居続けなければならなくなってしまうリスクがあるためです。

会社側から解雇を言い渡される

会社を辞める場合、自主退職と懲戒解雇という2つのケースがあります。
自主退職は自らの意思で会社を辞める事で、履歴書には「一身上の都合により退職」と書きます。解雇の場合は会社側から辞めさせられるため、履歴書には「会社都合による退職」と書かなければなりません。
この違いは絶大で、履歴書には虚偽の内容を書く事ができないため誤魔化しも効きません。
会社都合での退職、つまり懲戒解雇という事は、何か本人に会社を辞めさせられるような問題があったのではないだろうかと勘繰られてしまう恐れがあります。

退職代行サービスを利用した事により会社側が激昂し、このような処分を取るという事があるとしたら、退職代行サービスを利用するのに尻込みしてしまいますよね。

しかし、これについてはほとんど心配する事はありません。
なぜなら、懲戒解雇は社内の秩序を著しく乱した者へのペナルティであり、退職代行サービスを利用したぐらいで易々と発動できるものではないのです。

嫌がらせで懲戒解雇処分にすると言い出すブラック企業もあるかもしれませんが、この場合には顧問弁護士がついているような退職代行サービスであれば、弁護士がついている旨を伝えれば多くの場合、懲戒解雇を強行する事はなくなります。

会社側から損害賠償を請求される

退職代行サービスを利用し、即日退職をした場合など、本来引継ぎ業務などで出社しなければならなかった期間分の会社の損害を賠償しろ、という滅茶苦茶な要求をぶつけてくる会社もあるかもしれません。
あるいは退職そのもので会社に生じた損害分を賠償しろ!というケースもあるかもしれません。

これについては可能性は全くゼロとは言い切れませんが、ほとんど心配しなくても大丈夫です。なぜなら、損害賠償を訴える場合、裁判費用が生じるため、実際の損害費用よりも裁判にかかる費用の方が上回ってしまうケースが多いためです。
また、裁判のために時間や手間も割かなければならず、社員1人の退職のためにそれだけの労力と費用を投じてでも損害賠償を請求するかと言われれば、ほとんどの会社はそんな事はしません。

しかし、稀に本当に損害賠償を請求してくるケースもありますので、ある程度の覚悟はしておいた方が良いかもしれません。

会社から嫌がらせを受ける、退職までにいじめられる

退職代行サービスを使った事が知られて、退職までの間に嫌がらせを受けたりパワハラやセクハラを受けたりするというトラブルも考えられます。
これに関しては、正直なところ、可能性はゼロではありません。

特にブラック企業で上司や同僚たちの人間性も良くないような会社であれば、腹いせに嫌味を言ってきたり、嫌がらせをしてきたりするかもしれません。
回避方法は後ほど詳しくまとめますが、即日退職ができるサービスを利用したり、有給消化を上手く使ったりして、退職するという旨を伝えたその瞬間から会社へ行かなくても良いような状態を作り出す事です。

私物を送り返してくれないという嫌がらせも考えられますので、先に私物は全て持ち帰るように手はずを整えておきましょう。
また、退職のための書類を送ってきてくれないという嫌がらせは法律違反となりますのでハローワークなどに相談する事で会社側に指導が入る事になっています。

会社側から「非弁行為」で訴えられる

退職代行サービスを利用する上で最も気を付けなければならない点は、この「非弁行為」です。非弁行為とは、弁護士の資格を持たない者が、業務として報酬を得る目的で法律事務をおこなう行為の事です。
法律事務という言葉が少々イメージしづらいですが、退職代行サービスにおいて分かりやすく説明しなおすと、弁護士ではない者が勝手に交渉をしてしまうとその行為は非弁行為となる、となります。

非弁行為は違法行為となるため、この事に関して熟知している会社は退職代行サービスを利用して退職しようとした社員や、業者の事を訴える事ができると言い出す事があるかもしれないのです。
そして、それは決して非現実的な事ではなく、実際にグレーゾーンや、あるいは違法行為をおこなってしまっていたというケースもあるのです。

ポイントになるのは「交渉」です。
ただ退職の意向を伝えるだけ、退職届を代理で提出するだけ、そして会社と依頼者の間に立ち退職手続きに必要な書類のやりとりなどを代行する分には問題ありません。
しかし、退職金や残業代の支払い交渉や、退職日の日程交渉など、交渉が絡んでくると、これらの行為は非弁行為となってしまうのです。

もしも実際に依頼した退職代行業者がおこなってきた退職代行業務が非弁行為として認められてしまった場合、依頼者が罪を被る事にはなりませんが、刑事事件としての扱いになるため、参考人としての聞き込み調査に協力するよう要請が来る可能性があります。

料金を支払ったのに退職代行サービス業者と連絡が取れなくなる

悪徳業者、詐欺に引っかかってしまった場合には、退職代行の料金を支払ったのに退職代行業者と連絡が取れなくなるというトラブルも起きています。
詐欺サービスに引っかかれないためには、業者の名前で検索をかけて第三者の口コミを複数確認して本当に信頼できる会社なのかどうか見極める事が重要です。

退職代行サービスでのトラブルや失敗の事例

  • 成功率が低い退職代行業者で退職に失敗する
  • 会社側から懲戒解雇を言い渡される
  • 会社内で退職を理由に嫌がらせ等を受ける
  • 依頼した退職代行業者が非弁行で訴えられる

トラブル回避のポイント

考え得る退職代行のトラブルを回避するためにはどのような事に気を付ければ良いのか、ポイントをまとめました。

退職代行企業が行えない行為

悪徳業者に引っかからないようにきちんとした優良業者かどうか見極める

まず、退職そのものができない、料金を支払ったら連絡が取れなくなった、などといった悪徳業者や詐欺サービスを回避するために、優良業者を見極める事が大切です。

  • 料金の案内が明確ではない
  • 料金が極端に安い(相場は3万~5万です)
  • サービス内容が明記されていない
  • 成功率や実績についての記載がない
  • 問い合わせの反応が極端に遅い
  • 無料相談の返し方が適当だったり曖昧だったりする

これらに当てはまる業者は怪しいです。
他にも業者名で口コミ検索をかけて、本当に成功しているのか、評判はどうなのか、チェックして選定するのもおすすめです。

料金とサービス内容をしっかりと確認する(特に非弁行為の部分について)

これは、とても重要なポイントです。
例えば退職代行を依頼するだけでなく、有給の交渉や、未払いの残業代を支払ってほしいという交渉なども同時に依頼したい場合は、弁護士資格を持っている代行者に依頼しなければ「非弁行為」となってしまうため、弁護士自身が退職代行を遂行してくれるサービスを選びましょう。費用は高くなり、5万円から6万円以上かかりますが、非弁行為の心配をせずに全ての交渉を任せられます。

逆に、3万円程度から依頼ができる退職代行業者は、弁護士が退職代行をおこなうわけではないため、非弁行為にあたらない範囲でしか退職代行の依頼ができません。
公式サイトなどに「金銭が生じる交渉はできません」など明記してあるため、きちんと確認して、自分が何を依頼したいのかはっきりさせてから業者選びをしましょう。

顧問弁護士がついている業者かどうか確認する

例えば「即日退職も可能!」と謳っている退職代行サービス業者は多いのですが、前述の通り「交渉」が絡んでくる代行業務は非弁行為となる可能性があります。
しかし、顧問弁護士がついている退職代行サービスは、このあたりの曖昧な線引きについてはきちんとプロの知識をもって対応してくれるため、非弁行為として訴えられないように取り計らってくれます。
顧問弁護士がついていると明記のない業者は、曖昧な知識で知らず知らずのうちに非弁行為に手を染めてしまっている可能性もありますので、弁護士が直接退職代行をしないサービスを利用する場合も、顧問弁護士がついている業者を選ぶ方が安心といえます。

退職代行サービスを利用する際にトラブルを回避する方法

  • 優良退職代行業者を見極めて悪徳業者を避ける
  • 求めるサービスにあった業者を選ぶ
  • 業者が非弁行為で訴えられるようなことが起こらないように弁護士の有無を確認

まとめ:きちんとした退職代行サービスを利用すれば退職への道は明るい

退職代行サービスを利用した場合のトラブルや失敗事例、その回避方法をまとめました。
悪徳業者や詐欺サービスではない、きちんとした退職代行サービスに依頼をすれば、退職代行で考えられる多くのトラブルは回避できます。
ただし、非弁行為だけは気を付けるようにしましょう。会社との交渉が必要なケースには弁護士が直接間に入った方が安心です。
顧問弁護士がついている退職代行サービスが掲げている「できること」であれば、その業者に任せられるはずですので、自分がどの業者に依頼するかは、退職にあたって何をしてほしいのか明確化してから業者探しをする事を勧めます。
 

ポイント

  • 悪徳業者に引っかからないためにもトラブルや失敗例については掌握しておくべき
  • 自分が何を依頼したいのかはっきりさせてから業者を選ぶ
  • 非弁行為には注意し、会社との交渉が必要なケースには弁護士が直接間に入った方が安心