退職代行サービスは未成年でも使えるのか?親に秘密にしたいけど大丈夫?
働いていて仕事を辞めたくなるのは、何も大人だけではありません。
高校生や大学生はアルバイトをすることができますが、アルバイトも立派な仕事ですし、アルバイトだから楽ということは決してなく、辛い、しんどい、辞めたい…と思うこともあるでしょう。
また、中卒や高卒で社会人となって立派に働いている人も大勢います。
彼らは立派な社会人ですが、十代のうちは未成年として様々な制約があります。
高校生や大学生のアルバイトや、未成年の社会人(会社員・正社員/契約社員など)が退職代行を使って仕事を辞めることはできるのでしょうか。
また、親に秘密で退職代行を利用したり仕事を辞めたりすることはできるのでしょうか。
目次
退職代行サービスは未成年でも使えるが親権者の同意が必要
先に結論から言ってしまうと、未成年でも退職代行サービスは使えます。
ただし、未成年だけでは利用することができません。
未成年が退職代行サービスを利用する際には、親権者か法定代理人の同意が必ず必要になるからです。
お金が発生する委託業務ですので、この手のサービスは全て親権者、つまり親の同意が必要となります。
契約書や申込書といった書類で、よく「保護者署名(未成年の場合)」という欄を見かけませんか?なにも退職代行サービスだけがこのように厳しい規制を設けているわけではなく、お金が発生する契約や申し込みなどに関しては、ほとんどの業界で未成年者には親の同意が必須とされています。
親権者とは
親権者とは、簡単に言えば両親のことです。
父親か母親かのどちらかではなく、両親が法的に夫婦であれば双方が親権者となります。
よく離婚の際に「親権はどちらか」ということでもめるという話を聞きますが、これは離婚によって夫婦関係を解消するため、子どもの親権は父親か母親のどちらか一方のみに移るということになります。
法定代理人とは
法定代理人は少し説明が難しいため、ここではごくごく簡単にしか触れませんが、親権者、つまり両親も法定代理人にあたります。また、両親が何らかの事情でいない場合の祖父母や、後見人なども法定代理人となります。
要するに「法的に決定権を持つ保護者」という立場の人のことを指します。
親権者の同意が必要なため両親ともに秘密にすることはできない
未成年者が退職代行サービスを利用する際には、親権者か法定代理人、要するに「親」の同意が必要となるため、親に秘密で退職代行サービスを利用することは実質不可能となります。
ただ、父親だけには内緒にしたい、知られたくない、という場合に、母親のみに話をして同意を得て父親に秘密にしてもらうよう念を押して退職代行サービスを利用することはできます。
その逆も然りです。
両親ともに秘密にすることはできませんが、どちらかの親に秘密にすることは可能です。
親に秘密で退職代行サービスを使いたいシチュエーション
親に秘密で退職代行サービスを使いたいシチュエーションには一体どのようなものがあるのでしょうか。3例ほど考えてみました。
1.そもそも内緒で働いていた
親に内緒でアルバイトをする、親に内緒で副業をする、ちょっと声を大にして言えないような仕事をしている、というケースはよくあります。
しかし、親に言えないような仕事にはブラックな職場が多く、辞めたくても辞められないという苦難を抱えることになってしまうケースもあるのです。
こういった時に、退職代行サービスを使ってスムーズに退職したいけれど、そもそも働いていること自体秘密にしていてバレたくないため、退職代行サービスを使うことも言えない…という状態になります。
この場合は、もう諦めて信頼できる親御さん(お父さんかお母さんかどちらか)にだけ真実を伝えましょう。
その上で、自分の考えが浅はかだった、二度とこんな過ちは繰り返さない、仕事はちゃんと選ぶ、ということをしっかりと伝えて退職代行サービスの利用を許してもらいましょう。
2.退職代行を使うことを反対された
仕事を辞めたいけれど辞められず、退職代行を使って退職したい、と両親に伝えたところ「そんなのは甘えだ。自分で言いなさい」や「退職代行なんて使って違法とかじゃないの?」など、反対されてしまったというケースも考えられます。
自分で辞められればこんなに悩まないよ!といったところだと思いますが、この場合には、なぜ自分では退職できないのか、退職代行サービスを使う必要があるのはなぜか、退職代行は違法ではない、といった点をとことん説明して納得してもらいましょう。
「辞めたいと何度も伝えたけれど辞めさせてくれない」
「上司がパワハラで2人きりになるのが怖い」
「精神を病んでいるような気がするから今すぐにでも辞めたい」
など、真剣に訴えればきっと分かってくれるはずです。
3.親に反対されていた仕事だったため続けているフリをしたい
仕事を始める際に親に猛反対されて、その反対を押し切って働き始めたものの、現実は甘くなく、仕事を辞めたいと思うようになり、しかも自力では辞められそうにないから退職代行サービスを使いたい…というケースも親には秘密にしたいことでしょう。
また、退職代行サービスを使って辞めた後も、さも働き続けているかのように振舞いたいと考えていれば、なおさら秘密にしたいですよね。
この場合も、潔く諦めて、ありのままを親御さんに伝えてください。
自分の子どものことを想って反対してくれたんだ、ということがよく分かった、と伝えるだけで親御さんにとっては十分なはずです。
また、我が子が苦労していたり辛い想いをしていると知ったら、ほとんどの親御さんが力を貸してやりたいと思うはずです。
素直に気持ちを伝えてみてください。
成人していれば親に秘密で退職代行を利用することができる
ちなみに、成人していれば親の同意なく退職代行サービスを利用できるため、両親に秘密で退職することができます。
親に秘密にしたい時の注意点
ただ、退職代行サービスを使って退職する際には会社から親に連絡がいってしまうというリスクがあるため、そのリスクを事前に回避するよう下記のことに注意してください。
1.退職代行に「親に連絡しないよう職場に伝えてほしい」と念を押す
退職代行サービスのスタッフに「親にはくれぐれも連絡しないでくれ、と会社に伝えてください」とお願いしましょう。
スタッフさんがこのことを会社に伝えてくれれば、ひとまず安心ですが、中には嫌がらせでわざと親に連絡する会社もありますので、まだ油断なりません。
2.職場から連絡が来たらすぐに退職代行に連絡して折り返す
職場から自分の電話に連絡が来たら、もしそのまま話ができればすぐに取って話をしてください。ただ、ほとんどの退職代行サービス利用者は会社と連絡を取ることを拒否するため、この場合は職場からの連絡は無視してOKですが、すぐさま退職代行サービスに職場から連絡があったことを伝えて折り返してもらってください。
本人と連絡が取れないと実家の親に連絡をする会社もあるため、スピード感が大切です。
3.どうしても心配な時は弁護士に依頼する
退職代行サービスのスタッフがいくら「親御さんには連絡しないようお願いいたします」と伝えても、この言葉に法的拘束力はありませんので、会社は無視して親に連絡することができます。
もし、どうしても心配だという時は、法的措置を取ることができる弁護士に相談してみてください。
できることなら親にはしっかり伝えた上で退職するのが理想
大切な我が子が自分に秘密や隠し事を持っているというのは、親からするととても寂しく悲しいことです。
心配かけたくない、という想いや、迷惑かけたくない、という想いなど、様々な想いがあるかと思いますが、できることならご両親にはしっかりと退職すること、退職代行を使うこと、なぜ退職するのか、何があったのか、といったことを話してみてください。
それでも色々な事情があるかと思いますので、どうしても秘密にしたいという場合には、退職代行サービスのスタッフに念を押すことを忘れずに。
まとめ
- 未成年の場合は退職代行の利用に親権者の同意が必要
- 成人して入れば親の同意なく退職代行を利用できる
- 成人の場合は両親に秘密で退職することができるが、会社側親との連絡をしないことに法的制限はない