退職代行の利用者はここ最近なぜ増えているのか?
退職代行サービスは、あなたの代わりに退職の意向を会社に伝えてくれるサービスの事ですが、ここ最近需要が急増しています。
多い退職代行サービス会社だと、月に数百件の依頼があり、必要としている人が増えている事が分かります。また、テレビや雑誌などのメディアで取り上げられる機会も多く、話題になる事も増えてきました。
それでは、なぜ最近になって退職代行サービスの利用が急増しているのでしょうか。
どのような人が利用し、なぜ利用しようと思うのか、そのメカニズムに迫っていきます。
目次
退職代行サービスを利用する人たちはどんな人?男女比や年代など
退職代行サービスを利用し、会社を辞める人の男女比は男性6対女性4で、若干男性の方が多い傾向にあるようです。
年代は20代~30代が多く、若手社員たちが退職代行サービスを利用する傾向にある事が分かります。
退職代行サービスを利用する理由
そもそも退職するという意向を自分で会社に伝えれば、わざわざ退職代行サービスなど利用しなくとも済む話なのですが、なぜ数万ものお金を支払って退職代行サービスを利用する人が増えているのでしょうか。
主な理由としては
・上司に辞めるという事を伝えるのに気が引ける
・会社の雰囲気として「辞めたい」と言い出しづらい
・上司と顔を突き合わせて話したくない
・退職の旨を伝えたら何をされるか分からず怖い
・もう明日(今日)から会社に行きたくない
などが挙げられます。
つまり、退職する意向を会社に直接伝える事に関して何らかの障壁がある人が、退職代行サービスを利用するのです。
「辞めたい」が言い出せない会社
「退職する意向を会社に伝えられない」背景には、会社の雰囲気や方針、在り方、上司の人となりなど、様々な要因が考えられます。
日本の企業の多くに共通して見られる特徴のひとつに「連帯感」というものがあります。
日本人の社会は昔から村社会と言われていて、同じ村で暮らす者同士で「持ちつ持たれつ」の関係性を構築し、互いに深くかかわり合う事によって連帯感をもって支え合っていくという文化が染みついています。
これの文化がご近所づきあいだけでなく、会社でも発揮されているのが日本の企業の特徴なのです。互いに助け合い、支え合う、と言えば聞こえは良いですが、連帯感を植え付ける事で「自分が辞めたらみんなに迷惑をかけてしまう」と刷り込んでしまう事にもつながります。
こうなってくると、会社の迷惑にばかり意識がいってしまい、自分の意志、つまり「辞めたいという意向」を会社に伝える事ができなくなってしまうのです。
会社によっては、上司や同僚からの無言の圧力が働き「この大変な時に辞めるなんて言い出してみろ。どんな目に合うか分かっているんだろうな」といった雰囲気を会社全体に滲ませてしまうような、そのような企業気質をもつ会社もあります。
これが「辞めたい」と自分で言い出せない背景となっています。
辞めたいと言えない理由
- 日本の企業に多く見られる特徴である連帯感が、会社・上司・同僚に迷惑をかけると刷り込んで恐れさせる
- 会社を辞めることを戒める上司・同僚からの無言の圧力
体育会系の鬼上司への恐怖
また、今の20代30代の若者たちと、50代60代の世代の価値観や仕事観、人生観、気質のギャップも、若者世代が「辞めたい」と言い出せない要因のひとつとなっています。
今の若者に根性論は通用しない事が多くなってきました。
先輩や上司には怒られるもの、辛い時は耐え忍ぶもの、どんなに辞めたいと思っても3年は働くべき、といった考え方はもはや古いものなのですが、それが分かっていない年配の方は少なくありません。
後輩、新人の成長を願って厳しく指導しているつもりでも度を過ぎてしまう事もあるでしょうし、そもそも愛のある厳しさではなく「自分の時もそうだった。先輩、上司は偉そうにふんぞり返って後輩や新人を顎で使ってなんぼ」というねじ曲がった慣習に則って若者たちにきつく当たるような人が上司であれば、当然若者たちは恐れ慄きます。
「あの上司に退職したいなんて言ったら何をされるか分からない・・・」
という恐怖心から、直接退職の意向を伝えられないというケースもあるのです。
ブラック企業の恐ろしさは”洗脳”にあり
退職代行サービスを利用する方の中には、いわゆるブラック企業に勤めている方も多くいらっしゃいます。
このブラック企業の恐ろしさは、半ば洗脳のように従業員の冷静さや理性を奪っていくところにあります。「社畜」という言葉がありますが、その言葉通り、まるで家畜のように会社に縛られて働かされているうちに、少しずつ自分の意思というものが薄れていきます。
朝早く起きて出社して、終電で帰って、倒れ込むように眠り、また朝起きて会社へ足を運び、残業して帰宅して、場合によっては休日も出社して・・・という無限ループの中で、思考回路が停止した従業員は「こんなのはおかしい」とか「こんな会社は辞めてやる」とか「退職して転職しよう」などと考える事すらできなくなっていくのです。
この地獄のような無限ループが「当たり前」となってしまい、そこから抜け出そうという意思が持てなくなってしまう、いわゆる洗脳状態に陥ってしまうという事です。
しかし、何といっても身体は正直です。
心がマヒしても身体は悲鳴を上げます。不眠症になったり、摂食障害を引き起こしたり、うつ状態になったり、身体の方からSOSが出て、そして初めて自分がいかに危険な状態なのかという事にハッとなって気付くのです。
そうして気付いた時にはもう「明日(今日)から会社へ行きたくない」と、まるで反動のように心身が出社する事を拒絶するため、冷静に会社に退職の意向を伝えるどころではなくなってしまうのです。
そんな時に、退職代行サービスを利用して、即日退職という手段を取る方もいらっしゃいます。
深刻な人材不足から会社が引き留めようとするケースも
ここまでは、自分で退職の意向を伝えられないというケースでしたが、例え退職の意向を自ら会社に伝えたとしても、会社の方から「考え直してくれ」と説得されてしまうケースもあります。
現在、日本ではどこの企業へ行っても、そのほとんどが深刻な人手不足に悩まされているというのが現実です。人材採用は依然として売り手市場で、どこもかしこも人手不足なのです。
少子高齢化がその主たる原因となっているのですが、働き手の確保のために企業側も必死なのです。
そんな中で、戦力として活躍していた従業員が退職すると言い出したら引き留めたくなる企業がわの気持ちも分からなくはないですが、しかし民法では2週間前までに退職の意向を伝えれば退職できると定められているため、引き留める事は原則できません。
それでも、人情や良心に訴えかけて説得してくる会社も少なくないのです。
「君がいなくなるとシフトが回らなくなって皆に迷惑がかかる」
「君がいてくれないと我々は本当に困るんだ」
「あなたがいなくなると利用者さんが悲しむ」
など、あの手この手で情に訴えかけてくる事もよくある手段のひとつです。
こういった場合も、退職代行サービスを利用すればスッパリと辞める事ができるため、一度は会社に直談判してみたものの「辞めるな」と説得されたという経緯で退職代行サービスを利用する方もいらっしゃいます。
会社からの引き留めのポイント/p>
- 退職の意向を会社に伝えても、考え直すように説得されるケースがある
- 人手不足のため、働き手の確保に企業も必死
- 情に訴えて説得する手段はよく使われる
- 民法の規定では2週間前までに退職の意思を示せば辞められるため、引き止めはできない。
「辞める」権利は平等だから正々堂々とストレスなく辞めよう!
退職代行サービスが利用される様々理由をご紹介してきましたが、退職する権利は全ての人に平等に与えられています。
もし、会社に退職の意向を伝える事に極度のストレスや恐怖を感じる場合には、退職代行サービスを有効活用して、ストレスを感じる事なくサックリと退職するというのもひとつの手段です。
会社側と直接やりとりして嫌な思いをする事なく、行きたくないと思った時から行かなくても良い「即日退職」に対応しているサービスを活用するなど、ストレスを抱え込まずに退職する事が、退職代行サービスの利用によって叶えられるのです。
まとめ
- 退職する意向を会社に直接伝える事に関して何らかの障壁がある人が、退職代行サービスを利用
- 退職代行サービスを利用する方の中にはいわゆるブラック企業に勤めている方も多い
- 極度のストレスや恐怖を感じる場合には、退職代行サービスを有効活用