退職代行で即日退職は本当に可能なの?
最近テレビ番組などでも取り上げられている「退職代行サービス」は、その名の通り退職を代行してくれるサービスですが、そのほとんどが「即日退職」を謳っています。
「即日退職」は文字通り「即日」つまり「その日のうちに」退職できるという事になります。
よく上司に辞表をバーン!と突き付けて「辞めます!!」と言い放ってツカツカと会社から去っていく、なんていうシーンをドラマなどで見かけますが、実際のところそんなに簡単に退職できるものなのでしょうか。
退職代行サービスの「即日退職」が本当に可能なのかどうか、徹底解説いたします。
目次
「即日退職」と「即日対応」は意味が異なるので要注意!
まず注意しなければならない点は、「即日退職」に対応しているサービスなのか、それとも「即日対応」なのか、というところです。「即日対応」はあくまでも「その日のうちに対応してお話伺って相談に乗りますよ」という意味なので「今すぐ会社を辞めたい!」という方は「即日退職」を謳っているサービスを利用するようにしましょう。
退職のルールは2週間前までに会社に申し出る事
さて、それでは即日退職ができるかどうか、という本題に入っていきます。
そもそも民法で定められているのは「2週間前までに会社に申し出れば退職できる」という事であり、退職代行サービスはこの法律に基づいて退職代行の手配を進めていきます。
会社によっては「2ヵ月前までに上司に言う事」など、独自のルールを定めているところもありますが、法律上は2週間前までに伝えれば退職できる事になっているため、こちらが優先されます。
2週間前までに意向を伝えるという事は、民法に則ると退職の旨を会社に伝えてから2週間は退職できないという事になります。
事実、籍だけは退職の意思を伝えてから2週間はその会社に置く事となります。
即日退職は、2週間分の有給休暇か欠勤という手段を使う事で可能になる!
それでは退職代行サービスではどのように「即日退職」を実現しているのでしょうか。
答えは、有給休暇もしくは欠勤を使う、という手段で実現しています。
有給休暇は全ての労働者に付与されるもので、理由によらず休暇を取得できるものです。
退職時には有給休暇をまとめて使う事ができますので、2週間分以上の有給休暇が残っている場合は、この有給休暇を消化して2週間は出社せずに過ごすという事が可能になるのです。
もし、有給休暇が2週間分も残っていないという事であれば、退職代行サービスのスタッフから欠勤の旨を伝え、会社に欠勤扱いとさせてもらいます。きちんと事前に欠勤する旨を伝えているため、これは無断欠勤にはあたりません。給料は出ず減給の対象とはなってしまいますが、無断欠勤として会社から訴えられる心配はありません。
有給休暇、もしくは欠勤という手段を使い、2週間の期間を会社に行かずに過ごし、退職の意向を伝えたその日から2週間後に正式に退職という形になる、これが「即日退職」の具体的な流れになります。
引き継ぎの問題は、会社に実害を与えないならば心配無用
「明日から会社に行きたくない!でも、突然辞めて引き継ぎはどうしよう・・・」
そんなお悩みも心配無用です。
引き継ぎは絶対におこなわなければならないものではありません。
あなたの業務内容を他の従業員が掌握していれば、引き継ぎをおこなう必要は無く、いきなり会社を辞めてしまっても会社側から訴えられたり、損害賠償を請求されたりする事はありません。
ただし、あなただけが掌握している情報や業務内容があり、あなたが突然抜ける事により会社に甚大な実害が生じる可能性がある場合は、この限りではありません。
できれば引き継ぎをきちんと済ませてから退職するのが望ましいですが、もし精神的に「もう会社へ行くのがしんどくてこれ以上は無理」という状態になってしまっていたら、引き継ぎメモなどを会社に残すか、会社宛てに郵送するなどして、円満に退職するよう心がけましょう。
即日退職したものの家に会社の備品がある場合は、会社へ郵送で送り返す
即日退職はできたものの、自宅に会社の備品があるという方は、速やかに会社へ返却しましょう。そのままにしておくと会社の金品を横領したとして訴えられてしまう可能性が無いとは言えません。
会社に直接連絡する事が難しい場合は、退職代行サービスのスタッフが窓口となり、返送方法などを会社に確認してくれるので、その方法に従って会社へ返送しましょう。
社宅や寮に住んでいて、即日退職した場合は、籍が抜ける実際の退職日までに退去すればOK
社宅や寮など、会社管理の住居に住んでいて、退職代行サービスに即日退職を履行してもらった場合には、その日のうちに退去しなくてはならないというわけではなく、正式に退職となる2週間後までに退去すればOKです。
ただし、会社の人々と顔を合わせて気まずい思いをする事が予想されますので、引っ越しはなるべく早めに、退職する前に手配を済ませておきたいところですね。
思い立って「もう耐えられない!今すぐ退職する!」という勢いで即日退職してしまった場合には、ひとまず実家に帰る、シティホテルやデイリーマンションに一時的に身を置く、などの方法を取り、その後速やかに住居を探すのが良いでしょう。
まとめ
- 法律上は退職の2週間前までに会社に伝えれば退職できる
- 退職代行サービスでは有給休暇もしくは欠勤を使うという手段で即時退職を実現
- 引き継ぎ書を残すことで円満に退職