退職をライン(LINE)のみで済ませるのは可能?
最近「若い社員がなんでもかんでもLINEで連絡してきてなってない!」という年配の方の愚痴を耳にしたり、若者の電話離れにより「電話の取り方が分からない」新入社員が増えていることがニュースになったりします。
今やLINEは若者のみならず幅広い世代に定着した連絡ツールですが、これを仕事にもちこむことを否とする上司層は少なくありません。
では、退職する旨をLINEで告げるのはどうでしょうか。
「いや、そんなのありえないっしょ」というのが多くの人の感覚だと思います。
しかし、法的に見てどうなのか、時代の移り変わりに合わせて考えるとどうなのか、少し深掘りして考えてみませんか?
目次
LINEによる退職は法的にはOK
まず、LINEによる退職の申し出ですが、これは法的には全く問題ありません。
法律上は「退職の意思を表した2週間後に退職できる」と定められているだけで、その表し方については言及されていません。
口頭でも、電話でも、手紙でも、メールでも、もちろんLINEでも、なんでも良いのです。
LINEによる退職が会社規定的にNGな会社もある
ただし、法的にOKだからといって、それならいいじゃん、というわけにはいきません。
会社には、会社ごとに取り決められたルールがあります。
会社規定に「退職は書面で」と明記されている場合は、LINEだけで退職することはできません。
法律違反にはならないのでそれで逮捕されるわけではありませんが、会社からなんらかの制裁が下される可能性はあります。
LINEで意思表示→退職届(書面)提出はアリ?
こちらについては、「アリ」です。
会社規定で「退職は書面で」と定められていたとしても、退職届をしっかりと書面で提出していればこの規定には反していないことになります。
問題は「受け手」の印象
ただし、この場合は、そのLINEを受け取った人が「なんだコイツ、LINEなんかでこんな大事な話しやがって。なめてんのか?失礼な奴だな…」と思う可能性は十分に考えられます。
法的にOKか、会社的にOKか、というルール上の話だけでなく、気持ち的、感覚的にどうなのか、というところまで考えると、LINEで退職の意思を伝えるというのは決しておすすめできない方法です。
LINEで退職の意思を伝えるメリット・デメリット・リスク
それではここで、LINEで退職の意思を伝えるメリットやデメリット、そしてリスクをご紹介しましょう。印象は決して良くないLINEでの退職ですが、場合によっては非常に役立つこともあります。
LINEで退職の意思を伝えるメリット
1.なかなか会えない上司に伝えやすい
飲食業などでシフト制の仕事をしていると、なかなか勤務時間が被らずに上司やマネージャーなどと会えないということがあります。
本当は退職などの大事な話を直接したいのに、そもそも会う事がままならず伝えるタイミングを逸し続けている時などに、LINEは非常に便利です。
LINEで退職の意思を伝えた上で「退職届などはどうしたら…」と指示を仰ぐのが良いでしょう。
2.事情があり出社できない時に便利
例えば体調を崩して療養中だったり、家庭の事情で出社できなかったり、そんな時にもLINEは便利です。電話でも勿論良いのですが、電話は相手の時間を奪ってしまうことがあるため、忙しい上司に退職の意思を伝えたい時は、まずLINEしてみるのも良いでしょう。
3.ハラスメント上司と対面せず退職の意思を告げられる
ブラック企業などでパワハラ、セクハラをしてくる上司に退職したいと言わなければならない時には、直接伝えるために二人きりになることを避けるためにLINEで退職の意思を伝えるのもアリです。
ただし「LINEなんかで…」といちゃもんをつけられる可能性も非常に高いため、できたらその上司だけでなく信頼できる他の上司や上層部の人を入れたグループに送信するようにしましょう。
4.証拠をしっかり残せる
よくドラマなどで退職願を目の前でビリビリに破かれたり、暖炉(今の世の中暖炉が会社の中にあるなんてことはないですが…)にポイッと投げ捨てられたりするシーンを見かけますが、現実にも書面での退職願が「無かったこと」にされるということが起こり得ます。
LINEで退職の意思を伝えた場合、その履歴が消えない限り、それは証拠としてしっかりと残ります。送信相手が削除しても、自分の履歴には残るので、確実に退職したという意思を示すことができます。
LINEで退職の意思を伝えるデメリット
1.心証が悪い
LINEで退職の意思を伝えるデメリットは、心証が悪いことぐらいです。
法的には問題無く、会社規定で「書面で」と定められていても退職届という書面をしっかり提出すれば問題無く、そうなると、もうあとは「失礼な奴だ・だらしない・敬意が足りない」といった悪い印象を持たれてしまうことぐらいしかデメリットはありません。
「礼」や「和」を大切にしてきた日本人の感覚からすると、LINEでちゃちゃっと済まされるとムカッとしたりイラっとしたりするのでしょう。
一社会人として礼儀を通したいならば、そして職場の人の印象を悪くしたくなければ、避けた方が良いです。
2.会社規定違反になる可能性がある(退職届を別で提出しなかった場合)
会社規定で「退職は書面で」と定められている場合、LINEで退職の意思を伝えてから、きちんと退職届を提出すれば良いのですが、退職届を提出せずに「LINEしたからもうOKでしょ?じゃあサヨウナラ~」と勝手に退職してしまうと、これは規定違反となります。
しっかりと規定を確認して違反しないように気を付けましょう。
LINEで退職の意思を伝えるリスク
1.証拠が消滅するリスク
まず、メリットの部分で「LINEなら証拠が残せる」と述べましたが、自分のスマートフォンが壊れてしまったり、データが飛んでしまったりすると、一瞬にしてその証拠が消え去ります。
このリスクヘッジとしては、必ず退職の意思を伝えたメッセージをスクショして画像として保存し、スマホとパソコンなど2つ以上のデバイスに保管し、できればプリントアウトして紙としても保管しておくのがベストです。
2.誤送信のリスク
LINEにつきものの誤送信。退職の意思を伝える大事なメッセージでそれをやらかすと大変なことになります。
送信相手を間違えて、退職することを知られたくない人に送ってしまったり、メッセージ作成中に誤って送ってしまったり、内容に誤字やミスがあったまま送ってしまったり…様々なミスが想定されます。
このリスクヘッジは「下書き」です。いきなりLINEに打ち込むのではなく、まずはメモ帳に打ち込み、納得できる文面が出来上がったらコピペしてLINEで送信しましょう。
送信ボタンを押す前に送り先の確認も忘れずに!
3.人間関係が悪くなるリスク
先ほどから述べているように、LINEによる退職願いの最大のデメリットは心証が悪いということです。
例えば「アイツ、退職したいってLINEで言ってきたんだけど」などと言いふらされたら、周りの人が自分を見る目が変わることでしょう。
本来、こういったプライベートなことは言いふらすべきことではありませんが、人はムカついたことは誰かに話したくなる生き物です。
噂が広がり居心地が悪くなる可能性は考えた方が良いでしょう。
リスクヘッジとしては、きちんとLINEでの連絡になったことを詫び、事情や理由を説明することぐらいですが、特別な事情が無ければ、普通に口頭で伝えるのが一番の予防策でしょう。
直接伝えるのは無理!という方にはLINEよりも退職代行サービスがおすすめ
今回は、LINEによる退職について色々と掘り下げてみましたが、結論は「LINEでの退職は法的にはOKだけど印象が悪い」というところに落ち着きましたね。
しかし、様々な理由があり、直接退職の意思を伝えるのは無理!!という方もいらっしゃることでしょう。
LINEで退職したいって送って失礼だと思われるのも嫌だし、返信が怖いし…かといって直接言うなんて絶対無理だし…と悩んでいる方には、退職代行サービスをおすすめいたします。
退職代行サービスとは、退職希望者本人に代わって退職の意思を伝えるサービスです。
つまり、LINEを送ることすらせず、退職の意思を職場に伝えられるのです。
直接上司などから返事が来ることもありませんので、どう思われるか…なんて言われるか…と怯える必要もなく、事務的に退職届を郵送すれば退職が完了します。
退職したいけれど、なかなか切り出せないと悩んでいる方、LINEでも良いかな…と悩んでいる方は、ぜひ一度相談してみてください。
まとめ
- LINEによる退職の申し出は法的には全く問題ない
- LINEで退職の意思を伝えるデメリットは心証が悪いこと
- LINE退職の意向を伝えることを躊躇う場合は退職代行サービスがおすすめ