業務委託中でも退職代行サービスを使って辞めることは可能?

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退職代行サービスとは、退職したい意向を会社に伝えることを代行するサービスですが、よく「雇用形態を問わず一律○円」や「正社員・契約社員は○円、アルバイト・パートは○円」などと謳っています。
しかし、世の中には正社員、契約社員、アルバイト、パート以外の働き方をしている人がいます。

そのひとつが「業務委託」です。

社員でもアルバイトでもなく、業務委託で仕事をしている人が、その職場を辞めたいと思った時に、退職代行サービスを使うことはできるのでしょうか。

今回は、業務委託について、そして業務委託中に退職代行サービスが使えるか否かについて、解説していきます。

業務委託とは

業務委託は、雇用形態の種類ではありません。
正確に言うと、「雇用」ではないからです。

また、「業務委託契約」というものを結ぶことがありますが、こちらに関しても民法上はこのような契約は存在しません。

民法で定められている働き方(特に、企業から業務を依頼されて報酬を得る働き方)としては、

  • 雇用
  • 請負
  • 委任(準委任)

の3種類があります。

雇用はとても分かりやすいです。正社員、契約社員、準社員、アルバイト、パートなどのように会社と雇用契約を結び、会社に「雇われて働く」というスタイルになります。

業務委託は、請負と委任をひとくくりにした総称であると理解するのが分かりやすいです。
請負は成果物を完成させることにより報酬を得るタイプの業務委託、そして委任(準委任)は成果物を完成させる責任は負わず依頼された業務を行うというタイプの業務委託になります。

委任と準委任の違いを簡単に説明すると、委任の方は業務内容が法律行為である場合(弁護士など)で、準委任は法律行為でない場合(コンサルタントなど)を指す言葉です。

業務委託の具体例

業務委託の仕事の具体例を挙げてみましょう。

  • 弁護士
  • コンサルタント
  • 美容師
  • 音楽教室やヨガ教室など教室系の講師
  • 塾講師
  • 販売員
  • プログラマーやデザイナーなどのフリーランス

他にも多数あります。

雇用関係ではなく、業務を委託されて報酬を得るタイプの仕事は、業務委託となります。

「雇用契約」か「業務委託契約」か、自分で選ぶことができるケースもあれば、最初から「雇用」もしくは「業務委託」で決まっているケースもあります。
例えば、ある音楽教室の講師の場合は、最初から「業務委託」と決まっており、選択の余地なく「業務委託契約」を締結することになります。

業務委託=個人事業主

業務委託は、会社と雇用関係になく、個人事業主扱いとなります。
そのため、確定申告を自分でおこなう必要があります。開業届を出して開業することは不要ですが、毎年必ず確定申告に行く必要があります。

報酬を得る段階で源泉徴収されている場合も、2月ごろになると前年の支払調書が届きますので、必ず確定申告に行きましょう。超過支払いしてしまった分のお金が戻ってきます。

業務委託の仕事を辞めたい時は

業務委託の仕事を辞めたい時は、業務委託契約を結んでいる相手(企業や依頼主)に仕事を辞めたい旨を伝えます。

契約を結ぶ時点で「契約を終了したい際にはいつまでに誰に申し出る」などと明記されている場合は、基本的にはそのルールを遵守する必要があります。
ルールを守らなかった際のペナルティに関しても契約書に明記されていることが多く、賠償金を支払うことになっているケースもあります。

ただし、体調不良や、家庭の事情など、何か止むを得ない事情によって定められた期日を過ぎてしまって契約を終了したいと申し出た場合にはペナルティが課せられなくなる、と追記してあることも多く、この点はそう不安がることはありません。

具体例:某音楽教室講師の場合

例を挙げると分かりやすいので、とある音楽教室講師の例をご紹介いたします。

レッスンを生徒さんが自由に入れることができるタイプの音楽教室で、講師は毎月20日までに翌月のシフト(開けるコマ)を提出します。
講師が指定したコマの中から、好きな枠を前日までならいつでも予約できるスタイルの音楽教室です。

このようなスタイルの場合、業務委託契約書には「契約終了を希望する場合は、希望月の2ヵ月前までに申し出ること」と定められており、更に「既にレッスン予約が入ってしまっている枠にレッスンができない場合は、その枠分のレッスン料を違約金として講師が支払うこと」とも定められています。

つまり、既にレッスンの予約が入っているにも関わらず「辞めたい」と言い出して、そのレッスンを強制的に中止にしたり、他の講師に変わってもらったりした際には違約金が発生しますよ、というルールです。
至極明快ですね。

ただし、これには「講師本人の体調不良によるものである場合は診断書の提出により違約金は不要となる」という注釈がついています。
入院や、手術、療養など、様々な事情がありますので、こういったところは配慮してくれているのです。

業務委託でも退職代行サービスを使うことは可能

業務委託契約を結んでいる場合、その契約を終了させて、仕事を辞めたいと思ったら、退職代行サービスを利用することはできるのでしょうか。

結論としては、利用することはできます。
ただし、契約内容に則った範囲でお手伝いすることができます。

つまり、先ほどの音楽教室講師の例で言うと、

「既にレッスン予約が入ってしまっているけれど、もう仕事へ行きたくない!別に体調不良などでもなく診断書も出ていないけれど、とにかく行きたくない!だから即日退職できる退職代行サービスを使いたい!!」

という願いを叶えることはできません。
なぜなら、止むを得ない事情があるわけでもないのにルールを破っているためです。これは当然違約金発生事案になります。

もちろん、違約金を支払ってでも辞めたい、という場合は退職代行サービスを利用するなり、ご自身で辞めたい旨を伝えるなりして、辞めることはできます。
ただし、退職代行サービスを頼ったから違約金を支払わずに退職できるというわけではないので、そこは勘違いしないように注意しましょう。

退職(業務委託契約終了)したいと伝えることならば退職代行サービスにお任せあれ

退職代行サービスは、退職したい、仕事を辞めたい、ということを企業側に伝えるサービスです。
そのため、自分に代わって退職(業務委託契約終了)したいということを伝えてほしい、というご依頼ならば、退職代行サービスに任せることができます。

自分ではなかなか言い出せなかったり、どのように伝えて良いか分からなかったり、引き止めにあってしまったり、業務委託契約を結んだ時には聞いていなかったような業務を押し付けられたり、正当ではない脅しを受けたり(法外な違約金など)、このような悩みを抱えている方は、ぜひ退職代行サービスの力を借りてみてください。

まとめ

  • 業務委託は会社と雇用関係になく、個人事業主扱いとなる
  • 雇用関係ではなく業務を委託されて報酬を得るタイプの仕事は業務委託として扱われる
  • 自分に代わって退職(業務委託契約終了)したいということを伝えてほしいというご依頼は退職代行サービスへ