退職代行サービスは本人確認しているの?

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退職代行サービスとは、退職を希望する依頼者に代わって代行スタッフが会社に「退職したい旨」を伝え、退職のための手続きをサポートするサービスです。
ほとんどの退職代行サービスで「即日退職可!」「依頼したらその日から会社へ行かなくてOK!」「会社の上司や人事と一切連絡を取らずに辞められます!」などの謳い文句が並べられています。

しかし、ここで素朴な疑問が湧いてきませんか?

会社へ行かず、上司や会社の人と連絡を一切取ることなく本当に辞められるのだろうか…?
「自分自身からの依頼を受けて」と言われたところで、果たして信じてくれるものなのだろうか…?

という疑問です。

要するに「誰かがなりすまして退職代行サービスに依頼して本人の意志を関係無く退職を進めさせようとしているのでは」と疑うのでは、という疑問ですね。

このような「なりすまし」を疑われないために、退職代行サービスはどのような策を講じているのでしょうか。
今回は、本人確認と「なりすまし」対策について、解説していきます。

「なりすまし」対策のためにも本人確認は重要

ある日突然、会社に「退職代行サービス」を名乗る何者かから電話がかかってきて「〇〇さんが退職を希望しています」と言われたら、会社としては真っ先に「本当に本人が依頼したのか」という点を疑うでしょう。

「はいはい」と二つ返事で退職を許諾して退職の手続きを進めてしまい、後から「あれは自分が依頼したものではない」と「〇〇さん」から言われてしまった時に大問題となるため、会社の対応は慎重なものになるはずです。

こういった「なりすまし」対策をきちんとおこない、会社から本人確認を求められても対応できるように、退職代行サービスにとっても本人確認はとても重要なことです。

何のために「なりすまし」をするのか

そもそも、「なりすまし」は誰が何のためにするのでしょうか。
退職代行に退職のサポートを依頼するシーンでの「なりすまし」として考えられることは、「辞めさせたいと思っている人になりすまして勝手に退職の手続きを進めさせる」ということです。

嫌がらせであったり、何か恨みをもっていたり、その動機は人それぞれですが、辞めさせたいという人になりすまして退職代行サービスに依頼をして、会社を辞めさせるという手口です。

現実に「なりすまし」の被害が起きたことはない

しかし実際のところ、この「なりすまし」による被害が出たという記録は残っていません。
現実に「なりすまし」の退職代行は極めて実行することが難しく、ばれてしまえば犯罪となるため、誰もやらないのです。

退職代行サービスを利用すれば、会社と連絡を絶ったまま退職の手続きを進めることができますが、それでも「郵送」という手段で退職者本人が会社に退職届を提出したり、社員証や保険証などの返却必要書類を返送したりしなければなりません。
そのため、「なりすまし」により「〇〇さんが退職したい」という電話を退職代行サービスにかけさせたところで、いざ退職の手続きを踏むという段階でばれてしまうことが予想されます。

また、なりすましによる退職代行サービスの「退職したい」という電話が会社に入ったとしても、なりすまされた本人がいつも通り出社して「えっ!?退職!?そんなの知りません!」と申し立てて自分ではなかったことを立証できれば、その電話は無効なものとなりますので、やはり退職代行の「なりすまし」は実行不可能といっても過言ではありません。

それでも本人確認が重要な理由

「なりすまし」が退職代行サービスに第三者を名乗って退職の依頼をするリスクはほとんど無いと解説しましたが、それでも本人確認は非常に重要です。
なぜなら、未遂で終わったとしても「なりすまし」の依頼を受けてしまったことは退職代行サービスの信用問題に関わる重要な問題となってしまうからです。

「あそこの業者は『なりすまし』からの依頼も受けてしまったらしい」などという噂が立ってしまえば、その業者の信用は失墜します。
依頼者と会社が一切連絡を取ることなく退職を成功させることを業務としている退職代行サービスにとって、何よりも大切なものは信用です。

ずさんな対応で「なりすまし」の依頼を受けてしまうことがないように、本人確認をおこなう必要があると言えるでしょう。

依頼するなら本人確認をしっかりとおこなっている業者を選ぶべき

では、実際のところ、退職代行サービス業者は本人確認をおこなっているのでしょうか。
現在、日本には数多くの退職代行サービスが存在し、それぞれ自社サイトなどで退職代行の業務内容を宣伝しています。
しかし、サイトを確認しても本人確認をおこなっているかどうかは分からない(本人確認についての記載がない)業者が多いため、実際本人確認をおこなっているかどうかは依頼する段階にならないと分からないのが実情です。

中には「会社から本人確認の連絡がいくのでは?」といった質問に対して「本人確認をしているため、本人からの依頼と証明できるので安心してください」といった回答をしているFAQ(よくある質問)のコーナーを掲載している業者もあります。

問い合わせの時点で本人確認について聞いてみる

業者選びをする際に、ひとまず問い合わせをしてみる、というのはとても重要なことです。
本人確認のみならず、「こういうことはできるのか」「こういう要望があるが依頼できるか」など、退職に関する疑問や不安、要望などを問い合わせ窓口に送り、その回答によって依頼するかどうするか吟味するのがおすすめです。
その際に、本人確認についても問い合わせると、本人確認をおこなっているかどうか、おこなっている場合はどのような身分証明書が必要か、など細かく教えてくれます。

この際に「本人確認は不要ですよ~」などと返されたら「面倒じゃないからラッキー!」と浮かれるのではなく「え?大丈夫?」と疑った方が賢明です。
なぜなら、本人確認をきちんとせず、本人から退職代行の依頼を受けたという正式な契約(ここでは退職代行依頼のこと)を交わしたということが証明できないとなると、会社から「本当に本人から依頼を受けたのか」と聞かれた時に、それが証明できないからです。

本人確認はきちんとやってくれる業者を選ぶように心がけましょう。

本人確認の方法についても確認しておく

本人確認の方法についても、問い合わせで確認しておくと良いです。
社員証や社会保険の証明書など、本人であることを証明できる書類の写真を送ることによって本人確認をおこなうことが多いです。

また、例えば退職代行ニコイチでは、質問事項もかなり細かく、クレジットカードの申し込みのように詳しい情報を入力することになっているため、本人でなければ依頼できないようになっています。

本人確認で提示した個人情報は悪用されない?

本人確認の重要性について解説いたしましたが、個人情報を提示することに抵抗感がある方もいらっしゃることでしょう。
プライバシー保護の観点や、個人情報の悪用リスクの観点で、いくら本人確認とはいえ、個人情報を退職代行サービスに提示することに積極的になれない気持ちも、もちろんよく分かります。

しかし、安心してください。

先ほど解説した通り、退職代行サービスにとって最も重要なものは「信用」です。
本人確認のために得た個人情報を悪用し、信用を失うことなどあってはなりません。

そのため、本人確認のために得た個人情報は、退職代行が完了した時点で全て消去されます。

まとめ:なりすまし防止と会社による本人確認に対応するために退職代行サービスによる本人確認は重要

今回は、退職代行サービスは依頼者に本人確認をおこなうのか、何のためにおこなうのか、どうして重要なのか、といった点について解説いたしました。

退職代行サービスは、代行スタッフが会社に(主に)電話で依頼者が退職したいという旨を伝えます。顔も見えない相手の言うことが本当なのかどうか、会社側はまず本人確認をしようとします。その際に、きちんと退職代行サービスが依頼者の本人確認をおこなっていれば、その場で会社にその旨を伝えることができますし、照明もできます。
しかし、それがきちんとできていないと、依頼者本人のもとへと何度も電話がかかってきたり、退職を認めない、ということになってしまうリスクもあります。

円滑に退職を進めるためにも、本人確認は非常に重要です。

また、今までに実例があるわけではありませんが、全く関係のない第三者が誰かを貶めようと「なしすまし」て退職代行を依頼したような際に、その防止のためにもきちんと本人確認をする必要があります。

本人確認の仕方や実施の有無については業者によって違いがあるので、問い合わせの時点で確認しておくことがおすすめです。

まとめ

  • 退職代行サービスにとって「信用」が最優先なため本人確認を重視
  • なりすましによる退職代行サービスの利用例は現状はない
  • 本人確認の仕方や実施の有無は問い合わせの時点で確認しておくべき