退職代行のメリット、デメリットまとめ
これまで何度か退職代行を活用する上でのメリットやデメリットについて触れてきましたが、記事によってピックアップしているものが異なり、複数の記事に目を通していただく必要があったため、ここで退職代行のメリットとデメリットをまとめ直しました。
メリットを10個、デメリットを7個上げて、それぞれ詳しく解説しているので、ひとつひとつチェックして、退職代行を利用するかどうか検討する際の参考にしてみてください。
退職代行のメリット
まずはメリットからです。
退職代行のメリットとしては以下の10個のポイントが挙げられます。
- 上司や同僚に一切会うことなく退職できる。
- 即日退職ができる。
- 会社の上司や人事と直接連絡を取る必要がない。
- 引き止められても辞めることができる。
- ブラック企業やブラック上司の脅しなどが一切効かない。
- 会社から訴えられたり損害賠償を求められたりするリスクが無い。
- 退職後のアフターサービスが充実している業者に依頼すれば、退職後に必要な手続きや転職サポートも受けられる。
- 退職の意向を伝えることそのものがストレスで精神的な負担になっている人が、悩む必要が無くなる。
- 退職について不安なことや疑問点などを気軽に質問することができる。
- 自分自身が嫌な思いをすることなく退職できる。
ひとつひとつ解説していきましょう。
1.上司や同僚に一切会うことなく退職できる。
通常の退職は、直属の上司に退職したい意向を伝え、その理由や引き継ぎの相談、退職の時期などを細かく話し合う必要があります。
場合によっては引き止められたり、退職したいと伝えてから嫌がらせを受けたり、職場で気まずい思いをすることも考えられます。
そもそも退職の意向を伝えることそのものが、精神的に難しいというケースもあるでしょう。上司が怖くて退職したいなんてとても言い出せない、上司と2人きりで言葉を交わすのも耐えられない、というケースです。
これらの不安や問題を解決してくれるのが退職代行です。
退職代行は、スタッフが依頼者に代わって「退職したい」という意向を会社に伝え、退職届の提出から備品の返送まで細やかにサポートしてくれます。
本来ならば出社して直接提出しなければならない退職届も、退職代行を利用すれば郵送で送れば良いので、会社へ行く必要はありませんし、上司や同僚と会うこともありません。
2.即日退職ができる。
通常の退職では、退職の意向を伝えてから2週間後以降に退職できるようになります。
有給休暇が残っていれば、その休暇を使って退職の意向を伝えたその日から会社へ行かないという選択肢もありますが、現実問題なかなかそのようにはいきません。
「退職します、はい、さようなら」
と言って、それきり会社へ行かない、という事ができるのはよほどの勇気と行動力と決断力があってこそできることです。
退職代行サービスを使っても、退職の意向を伝えてもらってから2週間は会社に在籍していなければなりません。しかし、この2週間を「有給休暇を使う」もしくは「欠勤扱いとする」ことで、会社へ行くことなく過ごすことができます。
要するに「退職します。あと2週間は有給(欠勤)で!」と伝えるとこまで、退職代行サービスにお願いできるということです。
退職を考える理由は人それぞれですが、中には精神的に「もう明日から(あるいは今日から)会社へ行きたくない。家を出る一歩が出ない」というとこまで追い詰められてしまっている人もいることでしょう。
そういった方でも安心して任せられるのが退職代行です。
3.会社の上司や人事と直接連絡を取る必要がない。
退職代行サービスを使えば、基本的には会社の上司や人事と直接連絡を取ることはありません。ただし、先に「会社から連絡をしないように伝えてほしい」と退職代行スタッフに伝えておくのが良いでしょう。
会社側からすると、突然退職代行を使って「退職します」と言われても、本当に本人が依頼したのか、何か事件に巻き込まれたのではないか、と疑い、本人に直接連絡を取ろうとすることが多いです。
しかし、当の依頼者本人としては上司と話したくないから、会社とやりとりしたくないから、退職代行を使ったのに…というところでしょう。
そんな時は退職代行スタッフに「連絡は当社を通してお願いします。本人は会社と直接連絡を取りたくないと言っています」と伝えてもらい、退職代行サービスに窓口になってもらいましょう。
そうすれば、会社から直接連絡が来ることはありませんし、万一連絡があっても電話に出たりメールに返信したりする必要はありません。ただ、電話やメールがあった場合は、そのことを退職代行スタッフに伝えることだけ忘れないようにしましょう。
4.引き止められても辞めることができる。
上司に退職したいと伝えたのに引き止めに合ってしまうことがあります。
「今は繁忙期だから〇月まで待ってくれないか」という程度ならまだマシな方ですが、「人手が足りないのに辞めて迷惑かけるつもりか」や「折角雇ってやったのに恩を仇で返すのか」など、精神論や感情論を持ち出して引き止めてくる厄介な上司もいます。
こういった時にも役立つのが退職代行サービスです。
大抵の場合、第三者を間に挟んで退職の意向を伝えれば引き止められることはありません。
精神論や感情論を持ち出しても全く効果が無いからです。
もちろん「〇月までは待ってくれないか」や「このプロジェクトが終わるまで続けてくれないか」という具体的な提案が持ち出される可能性はあります。
そういった時に、退職代行スタッフは直接交渉ができないため、依頼者に会社の要望を伝えることになります。
それでも「そんなことは知らん。今すぐ辞める」という意志が固ければ、退職代行スタッフはその旨を伝達しますし、この引き止め提案に依頼者本人が耳を傾けて「じゃあその期日までなら…」と退職を思いとどまれば、そのまま退職が延期になります。
この場合にも、退職の約束はきちんと取り付けて、退職日を会社から提案があった時期にするというイメージになります。
この際に、退職日になったのに、また引き止められてしまったらすぐに退職代行サービスに相談しましょう。
5.ブラック企業やブラック上司の脅しなどが一切効かない。
先ほどの「引き止め」の項目でも少し触れましたが、退職代行サービスを利用すると、第三者が窓口、あるいは使者となり、依頼者本人の「辞めたい」という意向を伝えるため、そこで持ち出される精神論や感情論、脅しなどが一切通用しません。
自分の口から退職を伝えなければならないとなると、上司から何を言われるか、嫌がらせをされるのではないか、脅されて引き止められるのではないか、と様々な不安や恐怖と闘わなければなりませんが、退職代行を使えばそのような心配は一切無用です。
毅然とした態度で退職したいと言う自信が無い方、上司の話術にはまって退職の話がなあなあになってしまった経験のある方も、退職代行サービスを活用すればすんなりと辞められます。
6.会社から訴えられたり損害賠償を求められたりするリスクが無い。
退職代行サービスを使って退職すると、訴えられる、損害賠償を求められる、などという噂が流れたこともありましたが、実際に退職代行サービスを使って訴えられたり損害賠償を求められたりしたような事例はありません。
退職による損害賠償は、その人が辞めることによって会社に莫大な損害が生じるケースに限られ、ほとんどのケースでそのようなことは見受けられないため、心配する必要はありません。
また、退職代行サービスは違法行為などと言われることもありますが、正確には弁護士資格を持たない者による「交渉行為」が違法行為であり、退職の意向を伝える使者としての役割だけでは違法行為には当たりません。
そのため、訴えられる心配も無用です。
むしろ、退職の意向を伝えず、あるいは退職するための手続きをおこなわず、無断欠勤を続けてバックレる方が、訴えられたり損害賠償を求められたり、懲戒解雇されたりするリスクを伴います。
何も言わずに会社からバックレるぐらいならば、退職代行を利用してしっかりと退職する方が法的にもずっと安心なのです。
7.退職後のアフターサービスが充実している業者に依頼すれば、退職後に必要な手続きや転職サポートも受けられる。
自力で退職すると、退職の意向を伝えて退職届を提出するぐらいのことはスムーズにできますが、いざ退職したあとに、役所に提出する書類やハローワークに申請しなければならない事、転職活動に必要なものなど、分からないことが沢山出てくることでしょう。
退職後のアフターサービスが充実している業者に依頼すると、退職後にどのような手続きが必要か、どのような書類を用意しなければならないのか、またそれらの書類に何をどうやって記入すべきか、など詳しくサポートしてくれます。
業者によっては転職サポートも手厚いため、次の就職先が決まっていない状態で退職代行を使って仕事を辞める場合には、転職サポートが充実している業者を選ぶのがおすすめです。
8.退職の意向を伝えることそのものがストレスで精神的な負担になっている人が、悩む必要が無くなる。
ブラック企業というわけでもなく、上司も怖いわけでなく、自分自身も鬱状態になっているわけではない…でも、退職したいと言い出せない…という方は意外と多いです。
日本人は気遣い気質を持っていて、「みんなが忙しいのに自分が辞めたら迷惑をかける」「仕事を中途半端に放り出して辞めたら非常識な奴だと思われる」など、気を使ったり人の目を気にしたりして、なかなか退職の意向を伝えられない傾向にあります。
いつか退職したいと思っていても、タイミングが見つけられなかったり、気持ち的に退職を伝えることに前向きになれなかったり、職場の仲間たちのことを考えすぎたりして、なかなか退職したいと伝えられず、退職したいという想いを抱えながらズルズルと働き続けてしまっているという方も少なくありません。
そして、そのことがストレスとなり、少しずつ精神を蝕んでいき、やがて引き返せないところまで精神を疲弊させてしまうという事も実際に起こっているのです。
そんな「言いたいけれど言い出せない」というストレスも、退職代行を利用すれば全く感じることなく、スパッと仕事を辞められます。
9.退職について不安なことや疑問点などを気軽に質問することができる。
本当に退職して良いのか、退職して次の就職が上手くいくのか、退職後に失業保険はもらえるのだろうか、もし上司が家族に連絡してしまったら…など、退職するにあたって様々な不安や疑問がある場合は、退職代行サービスに相談することで、その不安や疑問をひとつひとつ解決することができます。
退職代行サービスは無料で問い合わせを受け付けています。
退職代行を依頼する、しないに関わらず無料で悩み事を相談できるため、退職したいけれど色々な不安を抱えているという方は、まず気軽に相談してみてはいかがでしょうか。
10.自分自身が嫌な思いをすることなく退職できる。
退職の意向を自分自身で上司に伝えた後に、上司から嫌味を言われたり、嫌がらせを受けたり、辞めるという話が会社に広まって同僚たちから冷たい目で見られたり飲み会に誘われなくなったり…という嫌な思いをするケースもあります。
そのような嫌な思いをすることなく辞められるのが、退職代行サービスです。
退職代行サービスを使えば、会社へ行くことなく退職できるため、辞めたいと伝えると同時に会社へ行く必要が無くなります。
退職の意向を伝えてから実際に退職するまでの「気まずい期間」を経ることなく、退職ができるのです。
退職代行のデメリット
次に、退職代行のデメリットです。
退職代行のデメリットとしては以下の7個のポイントが挙げられます。
- 退職するのにお金がかかってしまう。
- 退職した会社の人との関係が気まずくなる。
- 勢いで退職してしまって「やっぱり辞めなければ良かった」と後悔しても復職できない。
- 簡単に退職できるため、退職癖がついてしまう。
- ずさんな業者に依頼して退職に失敗すると職場に居づらくなる。
- 退職代行に理解の無い人もいるため、家族や友人にそのような人がいると面倒なことになる。
- 民間の退職代行サービスの場合は、交渉行為など法に触れる行為ができない。(その場合は弁護士による退職代行サービスに依頼できるが、費用が高騰する)
こちらも、それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.退職するのにお金がかかってしまう。
自力で退職の意向を会社に伝え、自分で退職届を人事に提出すれば、退職するのにお金はかかりません。
しかし、退職代行に依頼すれば当然費用が発生します。
退職代行費用の相場は3万円前後から、弁護士による交渉や慰謝料請求まで依頼すると10万近い金額になることもあります。
中には、転職サービスと退職代行サービスを合わせて実施している業者もあり、その業者の転職サービスで転職先を決めればお祝い金として退職代行費用を全額キャッシュバックしてくれるところもありますが、転職先を選ぶのに制限が出てしまいます。
2.退職した会社の人との関係が気まずくなる。
退職した会社の人々と金輪際関わらない、という事であればこのデメリットは全く意味の無いものです。
ただ、例えば親戚が退職した会社に勤めている、退職した会社の同僚とプライベートでも関りがある等、退職しても、その会社の人と関わる機会がある人にとっては、その関係が気まずくなってしまうリスクがあります。
3.勢いで退職してしまって「やっぱり辞めなければ良かった」と後悔しても復職できない。
退職代行の成功率は100%です。
依頼すれば確実に仕事を辞められます。
しかし、それは裏を返せば「依頼したら最後、絶対に退職してしまう」ということでもあります。
人間、働いていれば色々なことがあります。
「こんな会社、もう辞めてやる!」と思うこともあるでしょう。
しかし、その気持ちが、ただ一瞬の感情の高ぶりによるもので、その気持ちが落ち着けば「何をバカなことを考えていたんだろう…」と冷静になれることもあります。
一時的に感情が高ぶっている時に退職代行サービスに電話をして「退職させてください!」と依頼して、退職が完了した後に「やっぱり辞めなければ良かった…」と後悔しても後の祭りです。
退職代行を利用する際には「本当に辞めたいと心から思っているのか」冷静に考えて、退職しても後悔しないと確信が持てるようになってから、依頼しましょう。
4.簡単に退職できるため、退職癖がついてしまう。
退職代行サービスは、驚くほどスムーズに退職を実現してくれます。
電話1本で退職のお膳立てをしてくれるため、その手軽さに驚く人が多いと聞きます。
そのため、その手軽さに味をしめて、転職先の職場が気に入らなかったらすぐに退職代行を利用して辞める、ということを繰り返してしまうリスクがあります。
退職することそのものは決して悪いことではありませんが、短期間で何度も仕事を辞めて転職を繰り返していると履歴書にキズがつき、就職にも影響が出てきます。
5.ずさんな業者に依頼して退職に失敗すると職場に居づらくなる。
先ほど、退職代行の成功率は100%だと述べました。
しかし中には、きちんと退職させてくれないずさんな業者もあります。
サポートが十分ではなく「退職したい」という意向だけ伝えて、「それは認めない」と言われてしまったら依頼者に「認めないそうです」とだけ伝えてオシマイ、というような業者です。
このような業者に引っかかってしまうと、退職に失敗した上に職場内でも非常に気まずく、居づらくなってしまいます。
退職業者を選ぶときは実績や評価をよく見て、問い合わせた時の印象なども参考に、しっかりと吟味しましょう。
6.退職代行に理解の無い人もいるため、家族や友人にそのような人がいると面倒なことになる。
退職代行は、まだ比較的新しいサービスであり、近年は利用率も認知度も上がっていますが、それでも正しく理解していない人が多くいます。
「そんな怪しいサービス使って退職したなんて…」
「自分で退職しないなんて無責任…」
と、心無い言葉を投げつけてくる人もいるかもしれません。
このような言葉は流して無視していればよいのですが、家族や友人に退職代行に理解の無い人がいると、会うたびにチクチクと責められるなど面倒なことになるかもしれません。
7.民間の退職代行サービスの場合は、交渉行為など法に触れる行為ができない。(その場合は弁護士による退職代行サービスに依頼できるが、費用が高騰する)
退職代行サービスは、あくまでも退職したいという意向を会社に伝えることを主とし、退職に関する交渉をおこなうことはできません。
具体的には、退職日や退職金の交渉や、パワハラやセクハラなどの慰謝料の請求などは、一般的な退職代行業者にはできません。
これらの交渉行為は弁護士資格を持っていなければならないからです。
弁護士による退職代行サービスもあり、これらの交渉を希望する場合は弁護士に依頼するのが良いのですが、その場合は安くても5,6万円から、高いと10万円を超えてしまい、費用が高騰します。
まとめ
退職代行のメリットとデメリットを細かく、詳しくまとめました。
退職したいけれど、なかなか退職に踏み切れない、言い出せない、引き止めに合い退職させてもらえない、といった様々な悩みを抱えている方は、退職代行のメリットとデメリットをよく読んで、依頼するかどうするか検討してみてください。
退職代行業者の数が多く、どこに依頼したら良いか分からない場合は、まずは問い合わせてその対応を探ってみるのがオススメです。
退職代行におけるメリットとデメリット
- 退職代行を使えば即日会社にかかわらずに悩まず辞められる
- 退職代行に訴訟リスクが少なくサポートも受けられる
- ビジネスであるため費用が発生する
- 勤めていた会社や家族・友人との関係が悪くなる可能性がある