退職代行サービスは司法書士、社労士、行政書士にも依頼できる?

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退職代行サービスの業者を探していると「弁護士対応だから交渉も可能!裁判の相談も!」や「行政書士がサポートするため安心して任せられる!」や「弁護士監修で安心の格安退職代行を実現!」など、様々な謳い文句を目にします。

退職代行サービスには、特別な資格を有していないスタッフが代行業務を履行する一般的な民間の業者と、弁護士や司法書士など、特別な資格を有しているスタッフが代行業務を履行するサービスとに、大きく2つに分けることができます。

そして、有資格者による退職代行サービスは、更に弁護士、司法書士、社労士、と細分化されます。

今回は、有資格者の退職代行サービスと、そうではない一般的な退職代行サービスの違いと、依頼先を選ぶ際のポイントについて、まとめていきます。

司法書士や社労士などに退職代行を依頼することはできるか

有資格者による退職代行サービスで代表的なものは「弁護士」によるものですが、司法書士や社労士、行政書士にも退職代行は依頼することができます。

そもそも、退職代行そのものは特に資格が無ければできないわけではなく、誰に依頼しても問題無いです。
ただ、誰でもできる退職代行は「退職の意向を会社に伝えること」と「会社との窓口となること」だけで、依頼者と会社の間に立って直接交渉することはできません。
会社と交渉したい場合には交渉できる資格を持つ人に依頼しなければなりません。

この会社との交渉ができる人物の代表格が弁護士であり、弁護士が直接退職代行をおこなうサービスは、パワハラやセクハラの慰謝料請求などに関する交渉や内容証明の送付や、更には裁判などにも対応してくれます。

一方で、司法書士や社労士、行政書士などの有資格者は、弁護士のようにオールマイティーに対応することはできませんが、それぞれの資格による強みがあります。
そのため、資格を持たないスタッフが実施する退職代行だけでは心細かったり、何かプラスアルファで依頼したいことがあったりする場合には依頼を検討することも良いでしょう。

弁護士に依頼すると費用がかさんでしまいがちですが、司法書士や社労士、行政書士などであれば弁護士に依頼するよりも費用を抑えられる傾向にあるため、一般の業者との中間のようなイメージでとらえると良いです。

有資格者による退職代行サービスの比較(できることと費用)

有資格者による退職代行サービスは、弁護士、司法書士、行政書士、社労士の4つが挙げられます。司法書士については、司法書士の中でも試験に合格した認定司法書士というものがあるため、今回は5つに分けて「できること」と「費用感」について、なるべく分かりやすくシンプルに解説していきます。

  弁護士 司法書士 認定司法書士 行政書士 社労士
費用 5,6万~ 3万前後~ 5,6万~ 3万前後~ 3万前後~
裁判 可能 不可 可能 不可 不可
交渉 可能 不可 可能 不可 不可

有資格者による退職代行サービス一覧表

交渉

資格 費用
弁護士 5,6万~
司法書士 3万前後~
認定司法書士 3万前後~
行政書士 3万前後~
社労士 3万前後~

裁判

資格 裁判
弁護士 可能
司法書士 不可
認定司法書士 可能
行政書士 不可
社労士 不可

交渉

資格 交渉
弁護士 可能
司法書士 不可
認定司法書士 可能
行政書士 不可
社労士 不可

弁護士

できること:あらゆる交渉から裁判までオールマイティー
費用感:高め(最低5,6万~裁判になると数十万以上)
依頼例:140万円よりも高額な慰謝料請求をしたい

弁護士に退職代行を依頼すれば、あらゆることに関するサポートを受けられます。
パワハラやセクハラがあった際には内容証明を会社に送った上で慰謝料を請求することもできますし、裁判までもつれこんだ際にも担当弁護士として力強くサポートしてくれます。
費用が高いのが難点ですが、中には「ただ辞めたいだけの人向けの安心パッケージプラン」など、低額で依頼できる弁護士による退職代行サービスもあるようです。
ただ、安いパッケージでできることは、一般的な退職代行業者と同じ内容で、そこに交渉を加えたい場合には追加費用が必要となります。

司法書士

できること:法律に関する相談やアドバイス
費用感:やや高め(3万前後~内容によって変動)
依頼例:会社からパワハラを受けたと思っているが、法律に抵触するかどうか知りたい

司法書士は法律に関するエキスパートで、普段の仕事では裁判所や検察庁へ提出する書類の作成などをおこなっています。
法律に関することで聞きたいことがあったり、確認しておきたいことがあったりしたら、司法書士がおこなっている退職代行サービスか、司法書士を置いている退職代行サービスに相談してみるのが良いでしょう。
ただ、司法書士には「会社との直接交渉」はできませんので、法律について教えてもらった後に「やっぱり交渉したい」と思ったら、弁護士か認定司法書士に再度依頼しなければなりません。

認定司法書士

できること:140万円までの交渉
費用感:やや高め(5,6万~)
依頼例:140万円以下の慰謝料請求をしたい(パワハラ、セクハラなど)

認定司法書士は、司法書士と弁護士の間のような存在です。
試験に合格し国に認められた司法書士のことを「認定司法書士」といい、彼らは140万円以下の民事事件を取り扱うことができます。
法律のエキスパートでもあり、140万円以下の慰謝料請求などに関しては対応してくれるため、会社でパワハラやセクハラ、あるいはいじめなどがあり、慰謝料を請求したいという際には頼ってみても良いかもしれません。弁護士に依頼するよりも安めの金額で請け負ってくれます。

行政書士

できること:書類に関する相談やアドバイス
費用感:安め(3万前後~)
依頼例:退職届の書き方が分からない、ハローワークに提出する書類の書き方を教えてほしい

行政書士は交渉行為はできませんが、書類のエキスパートなので退職届や退職後の様々な書類の作成について相談に乗ってくれます。
退職届はそれほど難しい書類ではないのですが、失業手当を受けるためにはをーワークに提出しなければならない書類であったり、社会保険から外れることによって自治体、もしくは新しい就職先へ提出しなければならない書類であったり、退職後に必要となる様々な書類については「どうしたら良いか分からない」と途方にくれる人も少なくありません。

そんな時に心強いのが行政書士です。
退職した会社からどのような書類を発行してもらわなければならないのか、記入が必要な書類の記入方法、提出に必要な書類などについて親切に教えてくれます。

社労士

できること:労働法についての相談やアドバイス
費用感:安め(3万前後~)
依頼例:ブラック企業だと思うほどの劣悪な労働環境だと思うが、労働法的にどうなのか知りたい

社労士は労働法についてのエキスパートであり、労働問題に関しては非常に詳しい知識を持っています。
会社と直接交渉することはできませんが、労働法に抵触するような働かせ方をしているのか、ブラック企業なのか、訴えれば何かしらの結果に繋がるのか、などといった点について相談することができます。
まず社労士に相談し、必要があれば弁護士に交渉や裁判の依頼をするという順を踏むのもひとつの手です。

ただ退職したいだけなら民間の退職代行サービスで十分

有資格者による退職代行サービスについて、できることや費用感について解説してきましたが、最初にお伝えした通り「退職の意向を伝えること」が退職代行サービスの基本であり、その基本サービスだけで十分だという方は、民間の退職代行サービスで十分です。

民間の退職代行サービスの方が安くて早い

有資格者に退職代行を依頼すると、どうしても費用は高くなります。
特に弁護士に依頼するとかなりの費用が必要となり、内容証明の送付や交渉、裁判まで進んでしまうと数十万から、高いと百万を超えてしまうこともあり得るのです。

交渉や裁判までいかなければ、数万円ほどで済みますが、それでも2,3万なのと5,6万なのでは倍の差がありますので、ただ会社に「辞めたい」と伝えたいだけという方は民間の業者で十分と言えます。

顧問弁護士や行政書士監修などの文言があると安心

ただし、民間の業者に依頼する際には「顧問弁護士」の有無や「行政書士監修」または「司法書士在籍」などの文言があるかどうか確認しておくことをお勧めします。

退職代行を履行するのは資格の無いスタッフであっても、きちんと弁護士などの有資格者が監修、指導していれば、法律に抵触する心配もありませんし、どこまで依頼できるのか明確に線引きしてくれるため、分かりやすく安心して退職代行を任せることができます。

例えば、退職代行ニコイチは「弁護士監修」でありながら、27,000円という低価格で退職代行を請け負っています。普通に弁護士に依頼した場合、こんなに安く引き受けてはくれませんが、弁護士監修で安心して任せられる上に値段もリーズナブルです。
依頼するならば、このように有資格者が関わっている業者がおすすめです。

退職の意向を伝えるだけならば非弁行為(違法行為)にはならない

退職代行は非弁行為で違法行為だ!と言われてしまうことがありますが、退職代行は「本人に代わって会社に退職の意向を伝える」だけであれば法律には抵触しません。

非弁行為とは、弁護士資格を持たない者が報酬を受けて交渉をおこなう行為を指す言葉で、交渉をおこなわなければ当然非弁行為にはならないのです。

交渉が必要な方は、交渉できる弁護士か認定司法書士に依頼するしかありませんが、「交渉はしなくて良いから、ただ辞めたい」という方は、高いお金を払わずに依頼できる民間の退職代行サービスで十分です。

まとめ:自分にとって必要なことが実現できるサービスを選ぶのが大切

退職代行サービスを選ぶ際には、自分にとって何が必要なのかよく考えましょう。
ただ辞められれば良いのか、それともパワハラやセクハラ、いじめなどの内容証明を送り慰謝料を請求したいのか、ブラック企業の実態を暴き鉄槌を食らわせたいのか、その内容によって、どの業者に依頼すべきか分かれます。

退職したいだけならば、民間の退職代行サービスで十分ですが、交渉が必要となるケースや、裁判までもつれ込みそうなケースは弁護士や認定司法書士に依頼するよりほかありません。
ただし、このようなケースではある程度のお金が必要となることだけ、頭に入れておきましょう。

有資格者の退職代行に関するまとめ

  • 有資格者による退職代行サービスは弁護士、司法書士、行政書士、社労士の4つに認定し放射氏を加えて5つに分けられる
  • 有資格者の退職代行は高額なので退職したいだけならば民間の退職代行サービスで十分
  • 交渉が必要な場合は弁護士や認定司法書士の退職代行サービスに依頼