退職代行を利用したら、社宅(寮)や部屋の荷物はどうなるの?

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退職代行サービスを利用して退職したい…
しかし、実は会社の社宅(あるいは社員寮)に住んでいる…
これって、退職代行サービスを利用して退職したら追い出されるのでは…?

今回は、こんな悩みをお持ちの方向けに有益な情報をお伝えいたします。

先に結論からお伝えします。

  • 社宅や寮に住んでいても退職代行サービスを利用して退職(即日退職)できます。
  • 退職代行サービスを利用したからといってすぐに住まいを追い出されることはありません。

この2つは先に押さえておきましょう。

その上で、いつ社宅(寮)から出なければならないのか、部屋の荷物はどうなるのか、など細かい点について解説していきます。

社宅(寮)を出なければならない期日は会社によって異なる

会社を退職する際に社宅(寮)を退去しなければならない期日は、会社の規定に定められています。
特に法律で何か決められているわけではないため、社宅規定や社員寮規定など、社宅や寮に関する規定をよく読んで自分の会社の場合はどのようなルールなのか確認しましょう。

会社によってその内容は異なりますが、退職日当日に退去しなければならないと定められているケースは稀で、多くの会社が2週間前後の猶予を定めています。

退職を申し出た日から2週間は原則会社を辞められない

仮に、退職日当日、あるいは翌日や2,3日後までに退去しなければならないという厳しいルールが定められていたとしても、ご安心ください。
日本の法律では、「退職を申し出てから2週間経てば退職できる」と定められています。ということは、逆に退職を申し出てから2週間の間はその会社の会社員である状態が続くということなのです。

退職代行サービスが「即日退職」を謳っていますが、この「即日退職」は正確に言うと「辞めます!」と言ったその日から社員ではなくなるというわけではなく、「辞めます!」と言ったその日から2週間は有給あるいは欠勤で「会社へ行かない」状態を続け、2週間経って初めて退職が完了するという仕組みなのです。

そのため、退職代行サービスを使って「退職します!明日からは出社しません!」と伝えたとしても、2週間は社宅(寮)から追い出される心配は無いと言えるでしょう。

借り上げ社宅の場合は交渉次第で済み続けることも可能

社宅には2種類あるとご存じでしたか?
「社有社宅」と「借り上げ社宅」という2種類で、前者の「社有社宅」は会社が保有している社宅のことを指し、後者の「借り上げ社宅」は会社名義で借りている賃貸を指します。

借り上げ社宅の場合は、契約人名義を会社から個人に切り替えることによって、会社を辞めた後でも同じ家に住み続けることができるようになります。

ただし、これには大家と会社の承諾を得る必要があるため、住み続けたいという人は交渉する必要があります。
ちなみに、退職代行サービスでは弁護士がおこなっているサービス以外の業者は基本的に交渉はできませんので、このような交渉まで代行を任せることはできません。

部屋の荷物は実家や新居などに郵送する

部屋の荷物はどうなってしまうかというと、個人所有のものは全て回収することができます。
逆に、備え付けの家具や家電は当然会社のものになるので、そのまま置いておくことになります。

個人の所有物は、可能であれば事前にある程度整理しておくことが大切ですが、急に即日退職が決まり、その余裕が無いというケースもあることでしょう。

そこで、事前にある程度準備ができる場合と、即日退職で時間がない場合に分けて、荷物の扱い方のポイントをまとめます。

退職に余裕があり事前にある程度準備できる場合

かねてから退職しようと考えており、しかし何らかの事情があり退職代行サービスを利用して退職をしようと考えている場合には、余裕をもって退職の準備を進められます。

社宅や寮に住んでいる場合には、退去期日を事前に確認しておいて、退去日を考慮して退職代行を実行する日を検討しましょう。

自分の部屋にある私物の中で、回収するもの、処分するものに振り分けます。
大きな家具や家電で処分する場合は、業者に回収に来てもらうのがおすすめです。お金はかかってしまいますが、運び出す手間や処分の手間を省くことができます。

引越しする際にありがちな「知人に譲る」という選択肢は、退職を悟られたくない、何か勘繰られたくない、という場合はやめておいた方が賢明です。
「新調する」などと言えばカモフラージュできるかもしれませんが、それがきっかけで退職しようとしていることがバレてしまう可能性も無きにしも非ずです。

回収するものに関しては、できるだけ少しずつ持ち出すようにしましょう。
実家に運んでも良いでしょうし、新しい住居に運び込んでも良いでしょう。この際も、周囲にバレたくない場合には、少しずつ、不自然でない程度に頻度などを留めておくことが大切です。

即日退職などで余裕がなく荷物をそのままに退去してしまった場合

何か事情があったり、精神的に限界が来てしまったりして、今すぐにでも仕事を辞めたい、もう仕事へは行けない、という場合には、退職代行サービスの「即日退職」を依頼することになります。

この場合、社宅や寮にある私物は、仕分けも事前持ち出しもできずに退職することになってしまいます。

先ほど解説した通り、退職の意向を伝えたその日のうちに社宅や寮を退去するよう命じられることはほとんどありません。
しかし、中には会社の人と顔を合わせたくないから、退職と同時に社宅や寮からも出てしまいたいと思う方もいらっしゃいます。

そのような場合には、会社の人に私物を郵送してもらうことができます。

退職代行サービスを使って即日退職し、更に私物を残した状態で社宅や寮からも出てしまったら、退職代行サービスのスタッフにその旨を伝えましょう。
そして、郵送先の情報を伝えて、会社の人に郵送してもらうようお願いしてもらいましょう。

この時に、郵送料、配達料は着払いにするのが最低限のマナーです。
そして、会社の人に手間をかけさせてしまうということも頭に入れておきましょう。

退職代行サービスを利用する際には必ず社宅(寮)で暮らしていることを伝える

忘れてしまいがちで、とても重要なことですが、退職代行サービスを利用する際には、事前相談や問い合わせの段階で、あるいは実際に依頼して打ち合わせを進めていく中で、必ず社宅(寮)に住んでいると伝えましょう。

また、社宅や寮、あるいは会社に私物があり、郵送してもらいたい時にも、その旨を事前に伝えておくと安心です。
まず会社に連絡して着払いで郵送手配してもらうよう打診し、その後郵送先の情報などを会社に伝え、私物返却に関する手続きや方法について細かく詳しくアドバイスしてくれます。

社宅や寮に住んでいること、私物が置きっぱなしになっていることなどを伝えずに退職を依頼して、退職代行業務が完了してから「あの、社宅住まいなんですけど…」と言い出しても、諸々の手続きに間に合わないことも考えられますので、気を付けましょう。

おわりに:私物回収だけでなく、会社に返却するものもあることを忘れずに

社宅や寮に住んでいても、退職代行サービスを利用して退職することはできますし、退職したからといってすぐに追い出されてしまうことは、まず無いと言えます。
私物を置きっぱなしにして社宅や寮を出てしまったり、会社にも私物が置いてある場合には、退職代行サービスを窓口に、会社に頼んで着払いで郵送してもらうようにしましょう。

1点忘れてはならないのが、会社から私物を回収するだけでなく、会社へ返却しなければならないものもあるということです。
会社のものを仕事で使うために自分で保有しているものは、あくまでも”貸与”であって、その物は貴方のものではありません。
ボールペン1つでも、会社のものを使っているならば返却しなければならないのです。
文具程度ならば、うっかり返却し忘れていても特にお咎めはないかもしれませんが、返却を忘れてはならないものがいくつかあります。

それが、証と社員証などのIDを示す書類です。
保険証は退職ギリギリまで自分自身で持っていることになりますが、退職が決まったら退職日までに会社に返却しなければなりません。
他にも自分自身の名刺や、交換した名刺、顧客データや会社の機密データなども全て返却しなけらばならないので、返却漏れの無いよう、細心の注意を払いましょう。

まとめ

  • 社宅や寮に住んでいても退職代行サービスを利用して即日退職できる
  • 退職の意向を伝えても2週間は社宅(寮)から追い出される心配は無い
  • 社宅暮らしで退職代行サービスを利用する際には必ずその旨をスタッフに伝える