退職代行サービスは詐欺なのか?詐欺業者の見分け方
退職代行サービスという言葉を耳にしたことがある方は、ここ数年でかなり増えてきています。しかし、まだそれほど定着していないサービスであり、利用者が増え伸びているにも関わらず実態やサービス内容がいまひとつ世に出ていないサービスでもあります。
退職代行サービス、聞いたことはあるけれど、本当にそんなサービスあるの?
もしかして、詐欺なんじゃないの?
などと囁かれることもあるようですが、退職代行サービスはちゃんと存在しているサービスであり、本当に退職代行してくれるサービスです。
しかし、中には「退職代行サービスを謳った詐欺業者」というものもいるかもしれません。
あまり詐欺業者が横行しているとは聞きませんし、現在退職代行サービスの詐欺の事例は多くありません。
それでも、これから先退職代行サービスを騙る詐欺業者が増えてくるとも限りませんので、今回は、退職代行サービスの詐欺業者の見分け方について解説していきます。
目次
退職代行サービスは詐欺ではない!勘違いされる理由
退職代行サービスは、本当に「退職したいけれど、自力では退職できない」という人に代わり、退職の意向を会社に伝えるというサービスおこなう実在するサービスです。
「退職させますよ!」と謳って、依頼したらお金だけ取られて連絡がつかなくなった、という詐欺などではありません。
しかし、サービスの特性上、どうしても詐欺だと勘違いされてしまったり、アヤシイと思われてしまったりすることが多く、なかなか誤解を晴らすのに苦労することもあります。
退職代行サービスが、なぜ詐欺だと勘違いされてしまうのか、その理由を紐解きながら詐欺ではないということを分かりやすく解説していきます。
理由1. そもそも「退職代行」というサービス内容がアヤシイ
まず、「退職代行」というサービスの具体的な内容が見えてこないために「本当にそんなことができるの?」と思われてしまうことが多く、それが「いや、退職代行なんてできるわけがない。そんな業者は詐欺だ!」という誤解に繋がってしまうようです。
「退職代行」という言葉をきちんと理解する必要があるのですが、退職代行サービスが主におこなっていることは「退職したいという旨を、本人に代わって会社に伝える」という伝言行為です。それから「退職に必要な手続きなどの案内を、会社と本人の窓口となって伝達する」というところまでサポートしているサービスがほとんどです。
つまり、退職代行サービスに依頼したから後は何もしなくても良い、というわけではないのです。
退職代行サービスの窓口のスタッフと連絡を取り、会社からの指示を聞いて、その指示の通り退職届を作成して郵送し、他にも社員証や保険証など、会社へ返送しなければならないものは送り返し、逆に退職代行スタッフを通して会社に郵送先を伝えてもらい、会社に置いてある私物を郵送してもらい…と、依頼者本人にもやるべきことがあります。
何もしなくて良い、というわけではなく、あくまでも「上司に退職したいと言い出せない」というケースや「退職したいと言っても引き止めてきてなかなか聞き入れてくれない」というケースなどに、本人に代わって退職したいということを伝えてくれるサービスなのです。
こうやって説明すると「確かに、そういうサービスならば現実味があるな…」と思っていただけるのではないでしょうか。
退職代行サービスは、依頼すれば魔法のように退職できる怪しげなサービスではなく、ただ「辞めたい」ということを伝えるだけの使者のようなサービスなのです。
理由2. 料金が前払い
退職代行サービスが詐欺だと思われてしまう理由の2つめは、料金が前払いだという点です。世の中にはたくさんのサービスがあります。前払いのものもあれば、後払いのものもあります。
退職代行サービスは前払いで、「万一失敗したら全額返金します」と謳っている業者が多いのですが、その文言が逆に「返金するって言ってくれてるけど、連絡がつかなくなってお金も返ってこないなんてことにはならないかな…」と不安を煽ってしまうようです。
まして「退職成功率100%」などと公式サイトに堂々と書かれていると、余計に不安になりますよね。
しかし、退職成功率100%という数字は決して実現不可ではなく、むしろ「絶対に退職を成功させてくれる」という安心感を裏付けてくれます。
退職代行サービスに依頼して、退職に失敗するほど恐ろしいことはありません。会社に居残らなければならず、しかも「アイツ、退職代行サービス使おうとして失敗したんだって」などと影で囁かれた日には、耐えられないほどの恥ずかしさを感じることでしょう。
そのようなことにならないよう、退職代行サービスは全力で退職に成功するよう尽力するため、100%の退職成功率を掲げられるのです。また、そもそも退職は全ての労働者に平等に与えられた権利であるため、退職の意向を伝えれば間違いなく退職できるということも、確実な成功率につながっています。
少し話が逸れましたが、この確実な成功率があるからこそ、料金は前払いなのです。
後払いにしてしまって、退職を成功させたのに支払いが無いまま連絡が取れなくなってしまうというケースを避けるため、退職代行サービスは前払いを採用しています。
理由3. SNSなどで口コミを探してもなかなか見つからない
退職代行サービスが詐欺だと思われてしまう理由の3つめは、口コミです。
退職代行サービスの業者名を打ち込んで検索しても、個人的な投稿はあまり多く表示されません。業者のアカウントや、まとめサイト、メディア掲載の投稿は多く表示されますが、個人的に「利用して成功した!」ということを投稿している人は非常に少ないのです。
業者の公式サイトには口コミが掲載されているものも多いですが、これらの口コミはいくらでも内部で創り出すことができるため、本物の口コミなのかどうか判別するのは難しいです。
しかし、SNSでのリアルな口コミが少ないのには理由があります。
それは「退職代行」が非常にデリケートなものだからです。退職は全ての労働者に与えられた権利であるため、代行業者を使おうと何をしようと、堂々と辞めて良いものなのですが、未だに世間的には「退職すること」そのものにも、「退職代行サービスを使うこと」にも、あまり良いイメージが持たれていません。
それを、わざわざSNSで発信しようとする人はとても少ないでしょう。
辞めた職場の人に見られるかもしれない、次の職場の人が見ているかもしれない、友人や家族など、不特定多数の人にも見られている…という状況下で「退職代行サービスを使って退職した」とはなかなか発信できないのです。
理由4. 違法行為にあたるのではという勘違い
退職代行サービスそのものを「違法行為なんじゃないの?」と思っている人もいるようです。
結論から言うと、退職代行サービスの「退職の意向を会社に伝える」という行為には違法性はありません。ただ、会社と直接交渉するような行為は法律に抵触するリスクを伴っています。
「違法なんじゃないの?」という人は、この「交渉は違法」という点でそのようなイメージをもっているようです。
弁護士が退職代行をおこなえば、当然交渉行為にも合法になりますし、弁護士ではない一般的な退職代行サービスも、顧問弁護士を置いているところであれば法律に抵触しない範囲で退職代行の手助けをしてくれるため、この点については心配ありません。
退職代行サービスが詐欺と勘違いされるポイント
- 退職代行というサービスの具体的な内容が見えてこないから
- 料金が前払いである点
- 口コミがあまり見当たらない
- 退職代行サービスを違法行為と思っている
退職代行サービスを謳った詐欺業者の見分け方
退職代行サービスそのものが詐欺ではない、ということは解説した通りですが、中には退職代行サービスを謳った詐欺業者が紛れているかもしれません。
退職代行サービスが詐欺と勘違いされる理由にもヒントが隠されているのですが、悪質な詐欺を見抜く方法を解説していきます。
1.会社情報をチェックして実績や実態を確認
まず、その会社や業者が本当に存在しているかどうか確認します。
住所や電話番号で検索すると、本当に存在しているか分かります。運営会社の名前で検索することも忘れずに。
また、公式サイトの「ドメインエイジ」を調べたり、SNSをチェックして投稿の様子を見てみたり、様々な方法で実績や実態がしっかりしているかどうか確認できます。
会社情報、住所、電話番号の無い業者は信用できないと言えるでしょう。
稀に電話番号を記載していない業者もありますが、できれば電話でも問い合わせができる業者を選ぶようにしましょう。
2.顧問弁護士がついているか確認
「弁護士監修」や「顧問弁護士」などという言葉がついているサービスは信頼性が高いです。
ただ、詐欺業者の場合は平気で虚偽の文言を記載することが考えられるため、何よりもまずは会社、業者そのものがちゃんと存在しているかどうか確認することが大切です。
その上で、弁護士がしっかりついている業者を選ぶようにしましょう。
業者そのものは存在しているものの、弁護士がついてないがゆえに、しっかりと法律の確認ができずに意図せず違法行為をおこなってしまうという業者もいないとは言い切れません。
この場合、依頼者が罪に問われることはありませんが、警察から事情聴取される可能性があるため、おすすめしません。
3.公式サイト以外のサイトやSNS口コミを確認
公式サイトはいくらでもサイト管理者で手を加えられます。
虚偽の内容を記載することは本来許されることではないのですが、記載されている内容が全て真実かどうかは、閲覧者には分からないのが現実です。
そこで、公式サイト以外の第三者が運用するサイトや、SNSの口コミを探して確認しましょう。複数の情報が出てきたり、悪いことが書かれていなければ安心して依頼できます。
4.まずは問い合わせてみて対応を確認
詐欺かどうかというよりも、きちんとした信頼に値する業者かどうか見極める方法としては、ひとまず問い合わせてみるという方法が良いです。
自分の中で考えや要望がまとまっていなくても、とにかく「退職を考えている」という内容で問い合わせてみて、その対応を見て感じた印象によって、信頼できるかどうか、安心感があるかどうか、どこか違和感や引っかかる点は無いか、確認しましょう。
相手に遠慮する必要はないので、どんどん質問したり要望をぶつけたりして、それに対する回答や反応を見て、業者を選びましょう。
複数の業者に問い合わせてみるのもひとつの手です。
万一詐欺業者だった場合には、その対応や口調などによって、直感的に「アヤシイ…」「信頼できなさそう…」と分かるものです。
もし少しでも不安を覚えたら、時間を開けてもう一度問い合わせてみて別の担当者でも同じ印象を受けるか試してみるのも良いです。
退職代行サービスにおける詐欺業者の見分け方のポイント
- まず住所・電話番号などを調べてその会社や業者が本当に存在しているかどうか確認
- 弁護士が監修している・顧問弁護士がいるサービスは信頼性が高い
- SNSの口コミを探して確認してみる
- まず問い合わせてみて信用できるかチェック
まとめ
退職代行サービスは、そのサービスの特性から詐欺だと勘違いされることもよくあります。
しかし、退職代行サービスは架空のサービスなどではなく、実存するしっかりとしたサービスです。
中には退職代行サービスを謳った詐欺業者もあるかもしれませんが、その見分け方として、会社情報を確認して、本当に存在する会社、業者なのかチェックしたり、公式サイト以外の情報を収集したり、実際に問い合わせてみたりする方法をご紹介しました。
実際のところ、退職代行サービスの料金は数万円ほどでそれほど高くなく、大金をだまし取りたい詐欺業者には向かないサービスなので、ほとんどの退職代行サービスは本物の業者だと言えるでしょう。
しかし、なかなか実態が見えづらいサービスですので、くれぐれも詐欺業者にはお気を付けください。
退職代行サービスが詐欺と疑われる原因・退職代行サービスにおける詐欺業者の見分け方のポイント
- 退職代行サービスは「辞めたい」ということを伝えるだけの使者のようなサービス
- 会社情報、住所、電話番号の無い業者は信用できない
- 信頼に値する業者かどうか見極める方法としてはまず問い合わせてみるという方法が良い