退職願、退職届、辞表の違いは?どう書くの?
退職する際には退職届を出さなければならないというのはなんとなく分かるけれど、退職願というものも聞いたことがあるし…結局何をどうしたら良いの?と困ってしまったことはありませんか? 退職願、退職届、そしてよく耳にする辞表についても、その違いと役割、そして書き方を解説していきます。
退職願は退職を願い出るもので退職を確定する効力は無い
まず、退職願は「退職したい」という希望を書面にまとめたものです。 退職を考えた際に、退職したい理由や退職希望日などを簡潔にまとめて直属の上司に提出します。退職願そのものには退職を確定する効力はなく、あくまでも希望というだけですので、上司と相談の上、退職が確定したら人事に退職届を提出しなければなりません。
退職願は提出せず口頭の相談だけで退職が決まる事も
退職願は絶対に提出しなければならないものではありません。 上司と直接口頭で相談、交渉し、退職を確定させる事ができれば、退職願は不要です。 上司と退職日などの詳細を決めて、人事に正式に退職届を提出すれば、退職願を作成しなくても退職する事ができます。 退職願は必ず必要な書類ではないのです。
退職願の書き方
基本的には縦書きです。 それぞれ行ごとに何を書くべきか例をご紹介します。
1行目:大きめに「退職願」と書く。 2行目:小さめに最下方に「私事」と書く。 3行目(本文):中ぐらいの文字で「この度、一身上の都合により、○年○月○日をもちまして退職させていただきたく、ここにお願い申し上げます。」と書く。適宜行替えをする。 本文の左隣:半分よりも下に次のように記載 〇年〇月〇日(提出日) ○○部○○課 氏名 「印」
退職願の左端に、上の方から次のように記載 会社名(正式名称) 代表取締役社長 ○○○○殿(社長の氏名)
退職願の書き方のポイント
退職願には「退職いたします」ではなく、「退職させていただきたく、お願い申し上げます」といったように、あくまでも退職を希望している旨を記すのがポイントです。 退職理由については、自己都合の場合は詳細を記す必要はなく「一身上の都合」で問題ありません。 「この度、一身上の都合により、〇年〇月〇日をもちまして退職させていただきたく、お願い申し上げます」という文章が良い例でしょう。
なお、あて先は直属の上司ではなく、社長や代表取締役など代表者となります。
退職願に関するポイント
- 退職願はあくまでも希望を伝えるもので、退職の効力があるのは退職届
- 上司と直接口頭で相談並びに交渉して、退職を確定させられれば退職願は不要
- 退職願いは基本縦書きで、そのほかにも形式がある
- 退職願の記載事項は詳細は必要なく、退職の希望の旨のみ
退職届は退職を決定づける書類であり退職するには必須
退職届は退職が決まってから人事に提出する「退職を確定させる書類」です。 例外を除いて基本的には、この退職届を提出しなければ退職した事にはなりません。 逆に言えば、会社から引き止めにあっても、辞めさせないと言われても、退職届を提出すれば法的には2週間後には退職できる事になっています。
退職届を出さなくて良い例外のケース
退職届を出さずに退職する例外のケースは下記の3つです。
- 会社から退職を勧められた
- 会社から解雇された
- 契約期間満了の際に契約を更新しないと通知された
以上のケースに該当する場合は、退職願も退職届も作成提出の必要がありません。
退職届の書き方
基本的には縦書きです。 それぞれ行ごとに何を書くべきか例をご紹介します。
1行目:大きめに「退職届」と書く。 2行目:小さめに最下方に「私事」と書く。 3行目(本文):中ぐらいの文字で「この度、一身上の都合により、○年○月○日をもちまして退職させていただきたく、ここにお願い申し上げます。」と書く。適宜行替えをする。 本文の左隣:半分よりも下に次のように記載 〇年〇月〇日(提出日) ○○部○○課 氏名 「印」
退職願の左端に、上の方から次のように記載 会社名(正式名称) 代表取締役社長 ○○○○殿(社長の氏名)
退職届の書き方のポイント
退職届には「退職させてください」や「退職を希望いたします」など、退職したいという希望を書かずに、「退職いたします」と言い切るように書かなければなりません。 仮に「退職届」と明記してあっても、本文が「退職したいと思っています」などという文章の場合は退職届としての効力が無いものとされてしまうこともありますので、くれぐれも注意して「退職する」ということを断定して書きましょう。
退職届に関するポイント
- 退職届も基本縦書き
- 退職届には退職することを断定して書く
辞表は社長や取締役が役職から退く時に提出する書類
退職願、退職届とは少し異なりますが、よく耳にする辞表には「辞める」という漢字が使われているため、「会社が辞めさせたい社員に渡すものなのかな」と思っている人も少なくないようです。 辞表は、会社と雇用関係にない社長や取締役などが、その役を退く際に提出するものです。 そのまま会社を辞めてしまうケースもあれば、一般社員として会社に残るケースもあります。会社そのものを辞めるという意味や効力はなく、あくまでも役を退くという意味を持ちます。
辞表は公務員にとっての「退職届」
公務員の場合は、仕事を辞める際に退職届ではなく辞表を提出します。 一般企業において、辞表は会社を辞めるという意味ではありませんでしたが、公務員においては退職するという意味を持ちます。 少々ややこしいですが、頭に入れておくと「辞表」と聞いても混乱せずに済みます。
辞表の書き方(公務員が仕事を辞める場合)
基本的には縦書きです。 それぞれ行ごとに何を書くべきか例をご紹介します。
1行目:大きめに「辞表」と書く。 2行目:小さめに最下方に「私事」と書く。 3行目(本文):中ぐらいの文字で「この度、一身上の都合により、○年○月○日をもちまして本職を辞させていただきたく、ここにお願い申し上げます。」と書く。適宜行替えをする。 本文の左隣:半分よりも下に次のように記載 〇年〇月〇日(提出日) ○○部○○課 氏名 「印」
退職願の左端に、上の方から次のように記載 所属先(正式名称) 代表者肩書 ○○○○殿(学校長や市長など、所属先の代表者の氏名)
辞表の書き方のポイント
公務員が仕事を辞める際には、退職届ではなく辞表を提出する事になりますので、「退職する」という表現よりも「本職を辞す」という表現を用いた方が自然です。 また、会社と異なり学校や役所などが勤務先となりますので、その代表者が宛先となります。
辞表に関するポイント
- 辞表も基本は縦書き
- 職を辞すのではなく役を退くように書く
- 公務員にとっては辞表は退職届のポジション
退職代行を利用して退職した時も退職届や辞表は提出しなければならない
勤務先へ辞めたいという旨を伝えるところから退職代行サービスを利用し、退職した場合、もう会社へ行かなくても良いんだ!と浮かれる前にやらなければならない事があります。 それが、退職届、あるいは公務員の場合は辞表の提出です。 退職代行サービスを利用して、会社へ行かずに退職が成功した場合、退職代行サービスのスタッフが窓口となり、会社とやりとりをして退職届などは郵送による提出で対応してくれるように取り計らってもらうケースが多いです。 退職代行サービスによっては、退職届の書き方を細かくレクチャーしてくれたり、穴埋めで簡単に退職届が作成できるテンプレートをプレゼントしてくれたり、様々な方法で退職希望者の方をサポートしているところもあります。 退職届の書き方が分からない、こんな場合はどのように書いたら良いのだろう、と困っている方も、まずはお気軽に退職代行サービスのスタッフに問い合わせてみてください。
まとめ
- 退職願は退職の希望を書く
- 退職届は明確に職を辞すことを断定して書く
- 辞表は職ではなく役を辞すために書く