うつ(鬱)で仕事を辞めたい!と思った時の退職方法
「うつ」という心の病気が一般的なものになったのは、それほど昔のことではありません。近年特に患者数が増えている「うつ」は私たちにとって身近な心の病気で、誰もがかかりうるものなのです。今回は、「うつ」について、また仕事が原因の「うつ」で会社を退職する方法について解説いたします。
目次
そもそも「うつ」とはどんな状態なのか
「うつ(鬱)」とは、気分が落ち込んだ状態の事を指します。「抑うつ」や「躁うつ」、「うつ病」という様々な言葉があり、何が何だかよく分からないという人も多いでしょう。簡単に説明すると、「抑うつ」は気分が沈み元気がない状態の事です。「躁うつ」は気分が上がりハイテンションになる状態と、気分が沈み悲観的になる状態が交互におこる事です。それぞれ、誰もに起こり得る症状で、一過性のものであれば病気とはみなされません。
これが「うつ病」つまり「抑うつ病」や「躁うつ病」になると、その症状が深刻化し、自分ではコントロールできず、周囲からも理解されにくいような言動をとるようになってしまいます。深刻なものになると、「自殺しなければ」と強迫観念のように思い詰めてしまったり、布団から出られずに常にぼんやりして会話すらまともにできなくなってしまったり、他人に対して突然激昂したり、様々な症状が見られます。
「うつ」の原因にはどのようなものがあるのか
仕事が原因で「うつ」を発症する場合、その原因にはどのようなものがあるのでしょうか。「うつ」は非常に難しい病気で、人により原因も症状も様々ですが、ここでは代表的な原因を3つご紹介します。
ハラスメントやいじめ
ポピュラーな「うつ」の原因のひとつに、人間関係が挙げられます。セクハラ、パワハラ、モラハラなど数々のハラスメントにより心を病んでしまったり、社内の悪質ないじめ行為などにより心を病んでしまったりするケースが多く、この場合は会社に賠償を求める裁判を起こす事ができる可能性があります。
長時間労働や厳しすぎるノルマ
「過労死」という言葉がフォーカスされ騒がれるようになってから、労働環境が随分と改善されていますが、それでもまだ多いブラック企業。タイムカードを切ってからも残業し続けたり、上司から厳しすぎるノルマを課せられたり、労働環境や労働条件が酷い場合にも「うつ」を発症する可能性があります。恐ろしいのが「自分が辞めたら会社の迷惑になる」と思い込み、会社から逃げる事ができなくなってしまうケースがあるという事です。その結果、自ら命を絶ってしまうという痛ましい事件が今も絶えないのです。
仕事の内容から発生するストレス
仕事内容をストレスに感じた事により「うつ」を発症してしまうケースもあります。接客業での接客ストレス(クレーム対応や緊張など)、工事現場での臭い、学校教員の重すぎる責任感など、その職場特有のストレスが引き金となるのです。
「うつ」かな、と思ったらやるべきこと
「うつ」には明確な自覚症状が無く、見極めるのがとても難しいです。ですが「なんだか最近やる気が出ない」「何をしていても楽しくない」「会社へ向かおうとするといつも吐き気がする」「電車を待っているとホームから飛び降りたらどうなるかという事ばかり考えてしまう」など、「もしかして自分はうつなのかもしれない」と思えるような症状が出ているようであれば、何らかの行動を起こすべきです。
他の病気と違い、「うつ」に関しては早期の方が自覚できる傾向にあり、症状が深刻化すると「うつかもしれない」とすら思えなくなると言われています。早期発見が重要ですので、手遅れになる前に行動に移しましょう。
社内に相談室やカウンセリングがあれば相談する
勤めている会社に、相談室や相談窓口、カウンセリングなどがあれば、まずはここに相談してみましょう。こういった社員ケアが充実している多くの会社が、相談している事が他の社員や上司にバレないような仕組みとなっています。安心して相談してください。
誰かに話を聞いてもらうだけで気持ちが軽くなる事もあるかもしれませんし、場合によってはカウンセラーから受診を進められる事もあるかもしれません。専門的な知識のある相談員からアドバイスをもらえば、自分が何をすべきか明確に分かるようになるでしょう。
病院へ行ってみる
社内に相談できる機関が無い場合は、勇気を出して病院へ行ってみましょう。診察を受ける科は心療内科になります。ここで正式に「うつ」と診断された場合、診断書を出してもらうと、後々給食や退職をしたり復職や再就職したりする時に役立ちます。
自覚が無くても周りから心配されたらカウンセリングか病院へ
ここで、専門的な知識を有していない家族や知人に相談する事や、家族や知人から心配された際についてのアドバイスをします。まず、周りから心配されたら、カウンセリングか病院へ行きましょう。「うつかもしれない」と自覚すらできなくなっている深刻な事態なのかもしれません。第三者が異変や異常を感じるほど大変な事態になっているのだと理解し、きちんと診察を受けてください。
次に、専門機関ではなく家族や知人に相談する事についてです。相談する事そのものは悪い事ではありません。しかし、その答えを鵜呑みにするのは非常に危険です。心配して「病院へ行ってみたら?」と言ってくれるような人なら良いのですが、「あなたはまだ頑張れる」や「そんなの心が弱いだけ」や「みんな同じように辛い」など、「うつ」である事を認めない、認めさせないような事を言われ、それをそのまま鵜呑みにした結果、うつがどんどん進行してしまうというリスクがあるためです。
「うつ」で仕事を辞めたい時の退職方法
病院で「うつ」と診断された、あるいはハッキリと「うつ」だという自覚があり、仕事を辞めたいと思った時の退職方法について解説します。
「うつ」は会社に明かしても明かさなくても良い
まず、自分が「うつ」である事を会社に明かすかどうかですが、これは、どちらでも良いです。「うつ」だと知ってもらいたい時は打ち明ければ良いですし、「うつ」だと知られたくない時は無理に「うつ」だと言わなくても良いのです。退職理由としては「一身上の都合」や「体調不良」などで十分です。
従業員が退職を申し出た時に、会社側にはしつこく理由を聞き出して良いという権限があるわけではありません。また、詳細な理由を言わない事を理由に退職を認めないという事はできません。もし、しつこく退職理由を聞き出そうしてきて、それが更にストレスを増長させていると感じた際には退職代行サービスを活用するのがおすすめです。
訴える場合は「うつ」と明かした上で診断書を用意
セクハラ、パワハラのハラスメント、あるいは職場の悪質ないじめなどが「うつ」の原因となり、会社を訴えたいという場合には、必ず病院から診断書をもらいましょう。
弁護士に相談し、法的手段に出る際の大切な証明書となります。
退職の時期や引き継ぎに関しては自分の心と相談
一般的に退職する際には極力会社に迷惑がかからないように、閑散期を選び、十分に引き継ぎができる余裕をもって退職を申し出るのが良いとされています。しかし、「うつ」で退職する場合は、心が疲れてしまっているため会社の事まで配慮する余裕が無くなってしまっているかもしれません。「うつ」で退職する際には、自分の心と相談して無理ない範囲で会社に配慮しましょう。
心がしんどくて会社に行けない時は退職代行サービスを活用する
もう会社に行くのが辛すぎて限界、これ以上会社へ行ったら死にたくなる、など心が限界を迎えてしまった場合には、自力で退職しようとせずに退職代行サービスを活用しましょう。退職希望者に代わり、会社へ退職の意思を伝えてくれるサービスです。法律上、会社へ退職する旨を伝えてから2週間経てば退職できるとされていますが、その2週間も有給や欠勤扱いとしてもらい、即日退職できるよう、退職希望者に代わり会社へ伝える事もできます。これにより、心をすり減らす事なく、スムーズに会社を辞める事ができるのです。
まとめ
- うつは早期発見が重要なので、手遅れになる前の自覚があるうちに行動
- 社内に相談できる機関が無い場合は、勇気を出して病院へ
- 心が限界を迎えてしまった場合には、自力で退職しようとせずに退職代行サービスを活用