ハラスメント(パワハラ、セクハラ)で仕事を辞めたい!と思った時の退職方法
近年、様々なハラスメントが続々と生まれて話題になっています。代表的なハラスメントといえば、セクハラ(セクシャルハラスメント)やパワハラ(パワーハラスメント)ですが、マタハラ(マタニティハラスメント)、スメハラ(スメルハラスメント)、アルハラ(アルコールハラスメント)、モラハラ(モラルハラスメント)など、挙げればキリが無いくらい多くのハラスメントが誕生しています。その中でも、職場で多く見られるハラスメントをセクハラとパワハラにまとめ、今回はハラスメントが原因で仕事を辞める際の退職方法について解説していきます。
目次
ハラスメントの定義
セクハラの定義と例
セクハラは、性的な嫌がらせ行為の事です。この言葉が出た当時は男性から女性、という認識が一般的でしたが、最近は女性から男性へのセクハラ行為も増えてきています。性別に関係無く、性的な嫌がらせ行為は全てセクハラとされます。この定義は非常に難しく、された本人が不快に感じたり恐怖を感じたりした場合、とされています。
例としては「仕事中に故意に胸や尻を触る」や「飲み会の席で本人が嫌がっているのに性的な話で盛り上がる」などであればセクハラだと主張する人が多いですが、中には「髪を切れば『髪切ったんだね』と言い、化粧を変えれば『今日の化粧濃くない?デート?』と聞いてくる」という事をセクハラと捉える人もいます。
パワハラの定義と例
パワハラは、職場での上下関係を利用して、立場の低い人間に対して業務の適正な範囲を超えて、精神的、肉体的苦痛を与える行為の事です。国ではパワハラの内容を6つに分類し、これらに当てはまるものをパワハラと定義しています。簡単にまとめてみました。
パワハラの分類
- 暴力など、身体を攻撃する行為
- 侮辱や暴言などで精神を功績する行為
- 集団無視など、人間関係から故意に切り離す行為<
- 過大な業務や、明らかに不要な業務を強要する行為
- 過少な業務や、能力や経験と比べて明らかに低すぎる業務しか与えない行為
- 私的な事に過度に立ち入りプライバシーを侵害する行為
例としては「少しミスしただけで『クズ』や『出来損ない』などの罵詈雑言を浴びせられる」や「明確な理由が無いのに仕事を減らされ無視されるようになった」などが挙げられます。上に上げた6つの分類の中に当てはまらないパワハラ行為もあり、例えば「飲み会への参加を強要する」などの強要行為が挙げられます。
セクハラ・パワハラ以外のハラスメントの扱い
冒頭で様々なハラスメントが誕生していると述べましたが、職場における多くのハラスメントで、退職する際に「会社都合」にする事ができるものはセクハラかパワハラに分類できるものです。
マタハラ(マタニティハラスメント)であった場合、妊婦である事を理由に本人が望んでいないのに業務内容を軽減化され賃金も減らされればパワハラとなりますし、「旦那とお盛んで」などの言葉を投げつければセクハラになります。アルコールを強要するアルハラ(アルコールハラスメント)も、パワハラに分類できます。
くさい臭いで不快な思いをさせるスメハラ(スメルハラスメント)については扱いが難しいですが、本人に注意しても上司や役員などの立場を利用して何の対策も講じなければパワハラになり得るでしょう。
ハラスメントが原因の退職方法
ハラスメントが原因で職場に居づらくなり退職したい場合には、通常の自己都合退職とは異なる「気を付けたいポイント」があります。
その退職方法のポイントを見ていきましょう。
まずは証拠集め
まず、ハラスメント行為があったという証拠を集めましょう。ハラスメントで会社を訴えたい、慰謝料を取りたいという場合には絶対に必要になりますし、訴える事まではしなくても良い場合でも退職後に役立ちますので集めておく事を勧めます。
ハラスメントの証拠は下記の方法で集める事ができます。
ボイスレコーダーで録音
ハラスメントの証拠と聞いて誰もが真っ先に思い浮かべるでしょう。小型のICレコーダーなどで暴言やセクハラ発言などをボイスレコーダーに密かに収めておきます。ICレコーダーは操作しているのが見つかると警戒されたり没収されたりするため、長時間録音できるものを用意して、ポケットや鞄から出さなくても良いようにしましょう。
写真やビデオに収める
画像や映像での証拠が必要になりそうな時は、写真やビデオを撮りましょう。ビデオ撮影は難しいかもしれませんが、もし社内に協力してくれるような人がいればお願いしておいて、現場をこっそり収めてもらいましょう。
脅迫めいたメールなどはスクリーンショットで保存
メールや手紙など、文面での証拠があれば、必ず保管しておきましょう。メールなどは消されてしまう可能性があるので、送信日時や送信元アドレスが明確に分かる状態でスクリーンショットして保存しておきましょう。
怪我や病気(うつ)の診断書をもらう
パワハラが原因で怪我を負ったり、病気になったり、うつと診断されたりした場合には、診断書をもらっておきましょう。
細かく日記をつけておく
ハラスメントがあった時は、こまめにメモをとっておきましょう。日記帳のようなものに、日付も必ず書き込んだ上でメモを積み重ねていく事により、立派な証拠品となります。
これらの証拠を、安全かつやりやすい方法で集めておけば必ず役に立ちます。
退職届に「一身上の都合」と書かない
ハラスメントが原因で退職する際に必ず気を付けなければならない点が、退職届の退職理由に「一身上の都合」と絶対に書かない事です。「一身上の都合」は辞める本人の個人的な都合という事で、会社に原因があるわけではないと言っているようなものです。
上司からネチネチ嫌味を言われるのは嫌だから、とりあえず表面上だけでも「一身上の都合」にしておけば丸くおさまるのでは、という考えはナンセンスです。なぜなら、自己都合退職なのか会社都合退職なのかで、失業保険に差が生じるからです。
会社都合退職で退職する方法は次の項目で解説しますが、仮に会社側が「自己都合で退職してくれ」と言ってきても、退職届の理由の欄は空欄にし、絶対に「一身上の都合」とは書いてはなりません。
会社都合で退職する
さて、先ほど、失業保険に差が生じるため、自己都合ではなく会社都合で退職する事、と述べました。ではどうすれば会社都合で退職できるのでしょうか。会社側から会社都合にしてくれるケースも稀にあります。パワハラやいじめの事実を知らなかった管理職や人事部がそのような手続きをとってくれた場合です。しかしこれはレアなケースで、とんでもなくホワイトな企業でなければ起こり得ません。
パワハラが横行しているような会社は、ブラック企業である可能性も高いため、そういった会社はどうにかして自己都合で退職するよう迫ってきます。そんな時にできる対策は2つです。
1つめは弁護士に相談して内容証明を送る事です。しかし、内容証明を送り、会社が「会社都合で退職する」と認めるまでは会社に在籍していなければなりませんし、弁護士に相談する費用もかかるため、あまりおすすめできません。
もう1つは、退職後にハローワークで「会社都合」にしてもらう方法です。ハローワークでは退職理由が記された書類の下部に「記載された離職理由に異議があるかどうか」という欄があり、そこを「有」にして会社都合での退職だったと主張する事ができます。この時はハラスメントの証拠を持っていれば、会社都合の退職として認められるのです。
逃げる手段として退職代行サービスを活用
ハラスメントを受けた人は大変大きな傷を負います。心に受けたダメージは大きく、会社へ行く事すらできなくなったり、上司と顔を合わせる事に過度なストレスを感じたりする事も少なくありません。そんな時、会社から逃げる手段として退職代行サービスを活用する事ができます。退職希望者の代わりに、会社に退職の旨を告げ、即日退職する事も可能です。
その際に、内容証明を送ったり会社都合退職の交渉をしたりする事はできませんが、きちんと証拠を集めておいて、退職後にハローワークで退職理由に異議申し立てをする事により、ハラスメントによる退職だと認められます。
ハラスメントするような会社とまともに退職の交渉ができる気がしない、と感じたら、ぜひ退職代行サービスを利用してみてはいかがでしょうか。
まとめ
- セクハラはされた本人が不快に感じたり、恐怖を感じたりした場合に成立
- パワハラは立場の低い人間に対して、業務の適正な範囲を超えて精神的、肉体的苦痛を与えた時に成立
- ハラスメントが原因で退職する際は、退職届の退職理由に「一身上の都合」と絶対に書かない
- 失業保険に差が生じるため、自己都合ではなく会社都合で退職
- ハラスメントするような会社とまともに退職の交渉ができる気がしないと感じたら、ぜひ退職代行サービスを利用