退職を電話で済ませるのはアリ?

退職を電話で済ませるのはアリ?のキャッチ画像

「仕事を辞めたい!今すぐ!!」
と急に思い立ったら、どうしますか?

仕事を辞める際には、段取りというものが必要です。
「辞めたい!」と思って、職場に連絡もせず辞めることはできません。

では、電話1本入れて「辞めます!」と伝えるのはどうなのでしょうか。
「非常識だ!」「マナーがなってない!」「ルール違反だ!」といった声が多数上がりそうですが、実際に退職する際にはどのような段取りを踏むべきなのでしょうか。

今回は、電話で退職できるのかどうかという点、そして退職の段取りについて、解説いたします。

電話だけで退職することは可能!ただしマナーとしては良くない

結論から言ってしまえば、実は電話1本で退職することは「可能」です。

法律では「退職の意志表示をしてから2週間後に退職できる」と定められており、この意思表示の方法については特に言及されていません。
対面で直接伝えても、電話で伝えても、メールで伝えても、人に伝えてもらっても、何でも良いのです。

ただし、電話をかけて「今日は体調が悪いのでお休みします」という連絡と同じテンションで「今日をもって退職させていただきます」と伝えるのは、流石にマナーとして良くないです。
欠勤の連絡と退職の連絡は、その重さが全く異なります。

辞めるからには、マナーを守り、円満に気持ちよく辞めたいものです。

本来の退職フロー

一般的に「良し」とされている退職のフローについて、簡単に解説します。
事情や、仕事によって変わることもありますが、基本的には下記のフローで退職します。

1.直属の上司に直接退職の意向を伝える

まず、直属の上司に「対面で直接」退職の意向を伝えます。
アルバイトなどで「上司」という存在が居ない場合は、マネージャーやチーフなど、最も近い責任者に伝えることになります。

忙しい相手ならば、メールなどで時間を取ってもらうようお願いして、しっかりと口頭で辞めたい旨を伝えます。

2.退職日や引継ぎなどについて打ち合わせる

上司、あるいはマネージャーやチーフなどに退職の意向を伝えたら、理由を聞かれたり、退職日について聞かれたりします。

大抵の場合は引き止められずに退職させてもらえますが、稀に「引き止め」に合うことがあります。
「せめて〇月までは働いてくれないか」「今いなくなられると困る」など、引き止められてしまったら、退職の意志が固いことや、希望日までに退職できないと困る事情などを引き合いに出して納得してもらいましょう。

ここで、引継ぎの予定や、退職日について打ち合わせて決めていきます。

3.必要あれば引継ぎをおこなう

引継ぎが必要な場合は、退職日までに引継ぎをおこないます。
アルバイトなどでマニュアルがあり、全従業員が仕事内容を把握しているような状況であれば、特に引継ぎは必要ありません。

4.退職届を提出する

アルバイトの場合は退職届は不要と言われることもあるかもしれませんが、一般的に退職届を提出します。
正社員、契約社員などの場合は必ず提出します。

退職届の提出先については、職場によって異なりますので確認しましょう。
上司やマネージャーなどに手渡せばOKという職場もあれば、人事部に直接提出するよう決められている職場もあります。

5.身辺整理をして退職する

社員証やIDカード、制服など、職場から貸与されているものを返却し、職場に置いている私物を回収し、身辺整理をおこなってから退職となります。

お世話になった同僚や上司たちへの挨拶も忘れないようにしましょう。

このような流れで通常は退職します。

電話で退職を伝えてもマナー違反にならないケース

電話で退職を伝えるのはマナーとして問題がある、と述べましたが、例外があります。
電話で退職の連絡を入れてもマナー違反にはならず、印象も悪くならないケースは次の3つです。

1.傷病などで休職していてそのまま退職する

怪我や病気などで休職し、入院や療養をしていた場合は、出勤するのが難しいと見なされ電話で退職の申し出があっても、それほど悪い印象にはなりません。

復職することを前提として休職するのが一般的ですが、なかなか症状が改善しなかったり、個人でじっくり考えた結果退職するのが最善という結論に至った場合には、休職から退職となる可能性も十分考えられます。

ただ、復職前提での休職だったのに退職することについては、必ず一言詫びるようにしましょう。

2.やむを得ない事情で出社できない

かなりざっくりとしていますが、「やむを得ない事情で出社できない」ケースも電話で退職を伝えるしかないと認められ、印象を悪くせずに済みます。

具体的な例としては、

  • 急に家族が倒れて、つきっきりで介護、看病しなければならない
  • 緊急事態(ストーカー被害、配偶者のDV、犯罪などの事件に巻き込まれている、など)により、急に引っ越すことになり、出社できなくなってしまった
  • 芸能関係などの特殊な夢を追いかけていて、急に海外などの仕事が決まり渡航することになった

など、普通に考えればなかなか起こらない「やむを得ない事情」ですが、人生何が起こるか分かりませんので、こういった可能性についても言及しておきます。

3.精神的に追い詰められて出社できない

職場へ行くことそのものが、ものすごいストレスとなり、精神的に出社できない……という場合も、電話で退職を伝えても大丈夫です。

傷病や「やむを得ない事情」に近い理由になりますが、入院も療養もしていなくても、物理的に出社できない理由が無くても、十分理解してもらえる理由です。

可能であれば、心療内科などで診断書を出してもらえると職場の理解が得やすくなりますが、無くても問題ありません。

電話口で「ストレスのせいでどうしても出社できない」と伝えて、退職したい旨を話しましょう。

電話で退職を伝える際の手順と注意点

電話で退職の意向を伝える際には、どのような流れになるのか解説します。
注意点についても、参考にしていただければ幸いです。

1.メールできる場合は直属の上司にメールでアポを取る

いきなり電話をかけて「辞めます!」というのは、相手も寝耳に水でビックリしてしまうでしょう。
また、忙しい時に電話がかかってくると迷惑になりますし、電話が繋がらないという可能性もあります。

上司やマネージャーなどにメールできる場合は、事前にメールで「お話したいことがあるのですが、電話をかけてもいいですか?何時頃ならばご都合よろしいでしょうか」など、都合を確認するのがおすすめです。

2.迷惑にならない時間に電話をかけ直属の上司に退職の意向を伝える

メールでアポを取れればその時間に、メールできない場合は忙しい時間帯などは避け、電話をかけます。
そして上司やマネージャーなどに退職の意向を伝えましょう。

3.電話で退職の意向を伝えることについて詫びる

本来、電話で退職の意向を伝えることは「失礼」であり「マナー違反」になります。
そのため、電話という形となってしまったことについては必ず詫びましょう。

できれば、なぜ出勤できず電話となってしまったのかという理由もあわせて説明しましょう。

4.退職理由は引き止めに合わない【やむを得ないもの】を

退職理由は、引き止められないような「やむを得ないもの」をチョイスするのがおすすめです。

出勤できずに電話で退職したいと伝えるぐらいなので、最も有効なのが「体調不良」や「精神的に限界」といった理由になります。
もちろん、他にも「やむを得ない事情」があれば、納得してもらえるように伝えましょう。

5.電話の内容はできれば録音しておく・録音できない場合はメールも送る

電話で退職の意向を伝える場合は、証拠が残らないため、何らかの形で証拠を残しておくのが安心です。

録音できれば、録音した音声データを保管しておくのがベストです。
録音できない場合は、電話後にメールで同じ内容を送っておくことで「確かに退職の意向を伝えた」という証拠を残せます。

6.上司の指示に従い退職届を郵送する

退職の意向を伝えたら、退職に際して退職届の提出方法を確認します。
アルバイトなどであれば、電話1本だけでOKということもありますが、退職届の提出が必要な場合は郵送先などについて指示を仰ぎ、指示の通りに提出(郵送)しましょう。

7.会社に返すべき備品を郵送する

社員証やIDカード、制服など、会社から貸与されている備品が自宅にあれば、返却しなければなりません。また、保険証なども会社へ返却する必要があります。

郵送で会社に返却するのですが、くれぐれも普通郵便ではなく、追跡ができる形で郵送しましょう。

8.会社から退職関連の書類を受け取る

退職すると、会社から離職票や退職証明書など、退職関連の様々な書類が届きます。
これらの書類は、役所やハローワーク、新しい職場などに提出しなければならないため、必ず受け取ってください。

自分で電話して伝えるのが難しい場合は退職代行の利用もアリ

電話で退職を伝える方法について、解説しましたが、やはり失礼になる、マナーとしては問題、という点が気になる方は多いと思います。

かといって直接出勤して退職の意向を伝えることもできず、電話もかけられず……でも辞めたい……と悩んでいる方には、退職代行の利用を勧めます。

退職代行は、依頼者に代わり会社に退職の意向を伝え、退職手続きをサポートしてくれる業者で、近年利用者が増えています。

職場に連絡する必要も無く、もちろん出勤する必要も無く、スムーズに退職できるため、電話するのが怖い、どうやって伝えたらいいか分からない、電話すらかけられないほど追い込まれている、という方にはピッタリのサービスです。

まとめ

  • 電話1本で退職することは可能ではあるがマナー違反
  • 傷病などのやむおえない退職理由がある場合は電話での退職も印象が悪くなりずらい
  • 退職の意向を伝えずらい場合は退職代行の利用がおすすめ