美容師を辞めたい時に考えるべき今後のこと。おすすめの退職理由も
トレンドの発信源である一方で、過酷な重労働とストレスにより辞めていく人が多い美容業界。憧れの美容師になったものの、辞めたいと考えるほど思い悩むことがあるでしょう。今の美容室を辞めたとして、その後のキャリアプランはどんなものを描いていますか?
この記事では美容師を辞めたいと思った時に考えることと、退職の伝え方について解説していきます。
目次
美容師の退職は珍しくない
美容師の平均勤続年数は他の職業と比べて約半分。非常に離職率の高い業界です。美容師を辞めたいと思う理由は人それぞれですが、主に「アシスタント期間が長い」「長い労働時間の割に年収が低い」「腰痛や手荒れなどの健康被害」「接客をストレスに感じる」などが挙げられます。
このような悩みは業界全体に共通するものです。別の美容室に移ったからといって改善が見込めるとは限りません。そのため、美容師ではない別の職業に転職する人も多いのです。
今、あなたの前には「美容師を続ける」あるいは「美容師を辞める」という2つの選択肢があります。どちらを選ぶのが自分にとって良いのか、この記事を通して考えていきましょう。
美容師を辞めるかどうかで悩んだら
長い練習時間や勉強を経てようやく手にした国家資格。ただ退職するだけでなく、美容師自体を辞めるのは大きな勇気がいることです。早まった決断をしないためにも、美容師を辞めた場合のメリット・デメリットをそれぞれ見てみましょう。
美容師を辞めるメリット
- 給料が上がる可能性がある
- 腰痛や手荒れが改善する
- 新しいことにチャレンジできる
美容師を辞めて他の業界へ転職すれば、これらのメリットが見込めます。もしかしたら給料自体はそれほど変わらないかもしれませんが、自主的に残って練習する時間がなくなることで、労働時間に対する給料という面では収入アップが期待できるでしょう。
また、転職先を立ち仕事でないところにすれば、腰痛やむくみに悩まされることが減ります。手を酷使する職業でなければ、美容師の職業病である手荒れも改善できるはずです。
そして、特に若い人にとってのメリットが新しいことにチャレンジできること。別の職業に就いてみることで、美容師の立場からでは見えなかった世界が広がるかもしれません。今まで気づかなかった自分の適性に気づけたという人もいます。人によっては、美容師を辞めて別の職業に転職した後、やはり美容師の仕事に戻りたいと復職した「出戻り美容師」になった例も。
本当に自分自身がやりたいこと・向いていることを探すのは、今後の人生を考えるうえで重要なことです。そのための手段の一つとして、美容師を辞め、新しい世界に飛び込むのも良いかもしれません。
美容師を辞めるデメリット
- 国家資格が無駄になる
- これまで働いてきた経験を活かせない
- 新しい職場ですべてを1から学ぶことになる
必ずしもすべてのケースに当てはまるわけではありませんが、美容師とはまったく違う職に就いた場合は、美容師としての資格は「ただ持っているだけ」になってしまいます。また、転職先によってはこれまでの経験を活かすことが難しいかもしれません。せっかく新しい世界でスタートしても、右も左も分からない状態で自信をなくしてしまうことも……。
加えて、新しい職場ではその業界、その企業ならではのやり方やルールがあります。仕事内容もすべて1から学ばなければならないという覚悟はしておきましょう。それに付随して美容師として築いてきた人間関係もリセットせざるを得ない可能性もあります。すべてが1からのスタートになることをメリットと捉えるかデメリット捉えるかは人によりけりだと思いますが、新しい環境に馴染むにはある程度時間がかかることを覚えておきましょう。
退職する際の上手な伝え方
美容師を辞めるにしろ、続けるにしろ、とりあえず今の美容室は辞めたいのではないでしょうか。そこで、円満に退職するためのポイントを5つにまとめました。退職する際の参考にしてください。
①繁忙期は避ける
一般的に美容室の繁忙期は、年末年始と年度替わりの時期です。これらの忙しい時期だと、退職の相談をしづらいだけでなく、引き留めにも遭いかねません。なるべく忙しくない時期に退職の意思を伝えましょう。伝える相手は店長やマネージャーなど、その美容室の責任者です。
②退職日まで余裕を持って退職届を出す
どの業種・会社でもそうですが、「辞めます」と伝えた翌日から辞めることはできません。たいていの場合、退職日の1~2か月前までに申し出るよう定められているので、その期限を確認したうえで余裕を持って伝えましょう。できることなら1か月、2か月と言わず半年ほど余裕を持った方が良いかもしれません。引き継ぎやお客様への挨拶、新しいスタッフの採用などが必要だからです。辞めると決意したらすぐに退職を申し出るのが望ましいですね。
③退職理由を工夫する
退職理由を正直に言っても、サロン内での関係が悪くなったり、引き留められてスムーズに辞められなかったりすることがあります。そんな事態を防ぎ、すんなり退職するためにおすすめの退職理由をご紹介しましょう。
「今後のキャリアを考えた時、◯◯の経験を積むことが必要だと思ったので退職させていただきたいです」
「実はここ数か月ほど身体の不調が続いており、一度仕事を離れてしっかり治したいと考えています」
「親の介護で地元に帰らなければならなくなったので、退職を決めました」
退職理由を切り出す時は、直属の上司の手が空いたタイミングで、なるべく周りに他のスタッフがいない時が好ましいです。「少しお話したいことがあるので今大丈夫ですか?」と声をかけましょう。話を聞いてもらえるとなったら、「突然で申し訳ないのですが、一身上の都合で退職したくお時間を頂きました」と切り出します。退職理由を聞かれたら、用意しておいた退職理由を話してください。
また、この時にいつ退職したいのかまで伝えておくと話がスムーズです。ただし、自分の希望を押しつけるように一方的な言い方をするのは印象が悪いので、「できれば◯月末までに退職したいと考えているのですが、具体的な日程はご相談させてください」と話すのがおすすめです。
④勤務先に対する不満は言わない
辞めたい理由を伝える時に、勤務先への不満は言わないよう注意しましょう。相手に嫌な思いをさせてしまうからというだけではなく、引き留められる恐れがあるからです。たとえば「待遇が良くない」と言ったら「じゃあ給料を上げるから残ってくれ」と交換条件を出されることもあります。もし「給料が上がるなら残ってもいいかな……」と思っているのであれば不満を伝えても良いかもしれませんが、引き留められたくないなら不満は漏らさないように気をつけてください。
⑤感謝の気持ちを伝える
円満に退職するためには、感謝の気持ちを伝えるのが一番です。
「お世話になりました」「色々と良くしていただきありがとうございました」
「たくさんのことを学ばせていただきました」
「美容師としても人間としても、成長させていただきました」
このように、感謝の想いを言葉にして伝えると、お互いに気持ちよく退職を迎えられます。退職を告げたらすぐに辞められるわけではありません。最終出勤日まで和やかな雰囲気のまま過ごすために大切なことです。
美容師におすすめの転職先
- アイラッシュサロン
- 美容系メーカー
- アパレル
- 美容部員
- オペレーター
- 営業
美容師としての経験を活かしたいという方におすすめの職業を6つピックアップしました。
アイラッシュサロンは近年人気を集めているサービスなので、アイリストの需要は高いです。美容師の資格が必須なので、国家資格を無駄にすることもありません。アイラッシュサロンであれば美容室の延長線のようなものなので、比較的馴染みやすいと思います。
また、美容系のメーカーではヘアケア商品の企画・開発をするにあたって実務経験のある美容師を求めていることもあり、美容師としての経験を活かしやすいと言えるでしょう。
アパレルや美容部員は、おしゃれに関心が高く、人をキレイにすることにやりがいを感じる人におすすめです。持ち前の色彩感覚やセンスを活かし、お客様に喜ばれる提案ができます。
美容師は接客業なので、電話対応や提案力などの接客スキルを活かした職業を選ぶのも良いですね。決まった時間内で座りながらの仕事が良いならオペレーター、お客様との関係を築いたり高収入を狙ったりするなら営業が向いているかもしれません。
フリーランスや開業という手も
美容師を辞めたくないけれど、収入の低さや労働環境の悪さに耐えられないという方は、独立を検討してみてはいかがでしょうか。今はシェアサロンや面貸しサロンが増えてきているので、フリーランスとして働きやすい世の中になってきています。また、ある程度スタイリストとして経験を積んだ後であれば、自分の店を持つことも夢ではありません。独立すれば、それまでの在り方に縛られることなくのびのびと活動できるので、美容師としてのやりがいも感じられるでしょう。
独立して上手くいくかどうかは自分次第ですが、他の業界に飛び込むよりも美容業界でチャレンジしてみたい、自分の力を試してみたいという方におすすめです。
どうしてもの時は退職代行に依頼
今回は通常の流れで退職する想定でいろいろ述べてきましたが、なかには明日から働きたくないという方や、自分で退職を切り出すことができないという方もいるでしょう。そんな方におすすめなのが退職代行サービスです。
スマホから依頼するだけで退職したいと代わりに伝えてくれます。退職が完了するまでサロンとのやり取りを仲介し、諸々の手続きをサポートしてくれるので、最短かつスムーズに退職を実現してくれる便利なサービスです。相談自体は無料なので、退職に関して悩んでいる方はどうぞ問い合わせてみてください。