退職した会社からボーナスを返せと言われたら応じるべき?
ボーナスは、多くの企業で夏と冬、年に2回支給されます。
退職を考えていて、ボーナスの時期が近い時ならば、どうせならもらってから退職したいと考える人は多いでしょう。
しかし、ボーナスを受け取った直後に退職するというのは大丈夫なのか、退職した後にボーナスを返せと言われることはあるのか、不安に思いますよね?
今回は、そんな「退職とボーナスについて」と「退職後にボーナスを返せと言われることはあるのか・言われたら応じるべきなのか」という点について解説します。
目次
結論!貰ったボーナスは”原則”返さなくてOK
まず、いきなり結論ですが、貰ったボーナスは基本的に返す必要はありません。
もし会社から「返せ!」と言われても応じる必要は無いのです。
ただし「基本的に」という点がポイントです。
ごく稀にボーナスを全額、または一部返還しなければならないケースもあります。
例外:将来性の評価によるボーナスは返還しなければならない可能性も
退職直前に支給されたボーナスを返還しなければならない稀なケースとして、そのボーナスが「将来性の評価」に対して支給された場合が挙げられます。
ほとんどのボーナスが、支給前の期間における会社への貢献に対する賞与として支払われます。つまり、「過去」に対して支給されるわけです。
しかし、珍しいですが一部のボーナスは「未来」に対して支給されることがあります。これが「将来性の評価」に対して支給されるボーナスです。ある一種の、会社から従業員への先行投資のような意味合いを持っています。
この場合、ボーナス支給後に退職されてしまうと、折角先行投資したつもりが、言ってみれば「持ち逃げ」されてしまうことになるため、ボーナスの返還を求めるということが起こります。
ボーナスを貰えるかどうか・返還しなければならないかどうかは就業規則を確認
ボーナスに関しては、給与とは異なり会社によって支給の有無、支給条件などが異なります。
そもそもボーナスが出ない会社もあれば、上半期の勤務実績が下半期のボーナスとして支給される「時間差」ボーナスを支給している会社もあります。
ボーナスの意味付けも、過去に対する賞与なのか、未来に対する将来性の評価なのか、会社によって、あるいはボーナスの種類によって異なります。
退職する前に、ボーナスに関する決まりを就業規則でしっかりと確認しておくことが大切です。
ボーナス支給の条件を確認
就業規則にはボーナス支給の条件が書かれています。
チェックするポイントは「算定対象期間」と「支給日在籍要件」の2点です。
例えば「算定対象期間」が「4月1日~9月30日」で、「支給日」が「12月25日」となっていれば、4月1日から9月30日までの勤務状況が評価されて算出されたボーナスが、12月25日に支給されるということになります。
そして「支給日在籍要件」というのは、支給日に会社に在籍していなければボーナスは支給されない、というものです。
つまり、この年の10月31日をもって退職した場合、ボーナス支給日である12月25日には会社に在籍していないため、4月1日~9月30日まで勤務していたとしてもボーナスは支給されない、ということになります。
逆に、12月31日に会社を辞めようと思っていて、12月25日のボーナスをもらってから退職するつもりだったとして、入社したのが10月1日だった場合(つまり3ヵ月で会社を辞める場合)は、ボーナスの算定対象期間に在籍していないため、これもボーナス支給の対象からは外されます。
自分の会社のボーナス算定対象期間と支給日、そして支給日在籍要件の有無について、しっかり確認しておきましょう。
ボーナスの意味付けを確認
ボーナスの意味付けとは、前述した「過去」に対する賞与なのか、「未来」に対する将来性の評価なのか、という点です。
これについて就業規則に明記してあることは稀ですが、先ほど例で挙げた「算定対象期間」が「支給日」よりも前だった場合は「過去」に対する賞与と捉えて間違いありません。
この場合は、ボーナスの返還は求められませんし、仮に「返せ!」と言われても一切応じる必要はありません。
将来性の評価としてのボーナスであれば、そのことを示す文章が必ず書かれていますので、そういった表記が無いかどうかチェックしてみてください。
ボーナス返還についての記載があるか否か確認
ボーナスに関するページに、ボーナスの返還に関する条件や項目があるかどうかも、念のためチェックしておきましょう。
しかし、仮に「賞与支給後3ヵ月以内に退職した場合は、その一部を会社に返還しなければならない」といった規定が書かれていた場合、これは違法行為になる可能性が高いです。
労働基準法の16条には「賠償予定の禁止」が定められています。賠償予定とは「使用者は、労働者の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約」のことで、要するに前もって「退職したら金返せ!」といったことを決めておくのは禁止されているという内容になります。
将来性の評価に対して支払われるボーナスについては「未来への投資」となるため返還義務が生じる可能性が出ますが、過去の業績に対して支払われたボーナスについては「違約金」のような扱いとなってしまうため、これを返還させる行為は違法となるのです。
万一会社の就業規則に、このような、ボーナスの返還を匂わせる表記があった場合は、労基に相談するということも考えた方が良いかもしれません。
ボーナスを貰ってから退職すべきか否か
一部の例外を除き、ボーナス支給後に退職してもボーナスを返還する必要は無いということを説明いたしましたが、ボーナスを貰ってから退職すべきか否か、少し考えてみましょう。
「貰えるものは貰ってから退職した方が良い」
というのが一般的な考え方ですし、ボーナス支給日が近ければ勿論貰ってからの退職をおすすめします。
しかし、ボーナス支給日まで1ヶ月以上ある場合、あるいは「一刻も早く辞めたい」と切羽詰まった状態である場合は、「ボーナス」と「今すぐ辞める」という2つを天秤にかけて考えてみても良いでしょう。
ボーナスを貰うためだけに、心身を削って無理して勤め続ける必要はありませんし、ボーナスを貰うまで退職を先延ばしにしたせいで転職のチャンスを逃す可能性もあります。
ボーナスの金額が大きければ待つ価値がありますが、大した額にならないのであれば待つ価値はありません。
ボーナスを貰ってから退職するか否かは、ご自身の状況やボーナスの予想金額をよく考えて決めるのが良いと言えるでしょう。
ボーナス支給直後の退職が気まずいなら退職代行がおすすめ
ボーナスを貰ったらすぐに退職したいけれど、なんだか気まずいし「あいつ、ボーナス貰ってすぐ辞めたよな」などと後ろ指を指されるようで嫌だし、そもそもボーナス支給直後に上司に「辞めたい」なんて言い出せない……
そういう方は少なくないでしょう。
そんな時におすすめなのが退職代行です。
退職代行とは、依頼者に代わって退職したい意向を会社に伝え、退職の諸手続きのサポートをしてくれるサービスです。
退職代行を利用すれば、会社に行かず、連絡も取らず、スムーズに退職することができます。
ボーナスをもらった直後に辞めるという気まずい想いをすることなく、ご自身は家で待っていれば退職できるのです。
ボーナスを貰ったらスッキリした気分で退職したいという方は、退職代行の活用も考えてみてはいかがでしょうか。
まとめ
- 基本的にボーナスを返還する必要はない
- ボーナスの算定対象期間が支給日より先のものは返還の対象になる場合がある
- 退職を言い出しにくかったら退職代行サービスに相談