退職代行を利用した後はどうなる?転職への影響をまるっと解説
今の会社を辞めたいのに辞められないという場合、退職代行サービスの利用を考える方もいるでしょう。しかし、転職活動で不利にならないか、転職先にバレることはないのかなど、心配になることもあると思います。そこで、退職代行サービスを利用した後に待つアレコレをすべて公開します!退職代行サービスを利用することで転職に不安のある方はぜひ最後までご覧ください。
目次
退職代行終了後の影響は?
多くの方が気になる、退職代行サービスを利用した「その後」の影響についてですが、転職活動に影響することはないのでご安心ください。
確かに、会社によっては応募者がどのような人材なのかを知るために氏名で検索をかけたり、前の会社に問い合わせたりするところもあります。ですが、たとえ自社の元社員であったとしても、以下にある通り本人の許可なく情報提供することは個人情報保護法で禁じられています。自ら話さない限り、応募先の企業や転職先にあなたが退職代行サービスを利用したことを知られる心配はありません。
(第三者提供の制限)
引用元:e-Gov
第二十三条 個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。
一 法令に基づく場合
二 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
三 公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
四 国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。
それよりも転職活動において重要なのは「退職理由」です。中途採用の場合、ほとんど必ずと言っていいほど「なぜ退職したのですか?」と面接で聞かれます。退職代行サービスを利用するようなケースだと、退職理由はネガティブな内容に偏りがちです。セクハラや残業代未払いなど、外部から見て明確な問題があった場合には正直に答えても良いでしょう。
しかし、人間関係や不規則な労働時間、パワハラなど、見方によって印象が変わるような問題の場合は言わないでおくことも必要かもしれません。それよりは、「新しいことに挑戦したい」「知識や技術を吸収したい」「お客様と直に接する仕事がしたい」など、志望動機にも繋げられるようなポジティブな理由を伝えた方が好印象です。
万が一退職代行の利用がバレたら
「人の口に戸は立てられぬ」と言うように、何かの拍子に退職代行サービスの利用が知られてしまうこともあり得ます。非常に可能性は低いですが、万が一ということもあるので対策は考えておいた方が安心です。
もしも応募先や転職先に知られてしまった場合、下手にごまかそうとしてはいけません。相手を納得させられるだけの理由を述べたうえで、退職代行サービスを利用したことを認めましょう。自力でも退職しようと努力したこと、それでも退職できなかったので外部に頼らざるを得なかったことを筋道立てて説明できると良いですね。
転職市場において前職を悪く言うのは好ましいことではありません。ですが、このような場合であれば説得力を高めるために役立つので、ためらわずにしっかり伝えましょう。
退職したら慰謝料請求すると脅された
会社に行けなくなるほど心身を追い詰められた
このような理由であれば、退職代行サービスを使うのはやむを得ない手段であったことが伝わります。それがマイナスの評価になることはないでしょう。とはいえ、きちんと正当な理由があるにもかかわらず退職代行サービスを利用したことに難色を示すような会社は、社員に対する気遣いのないブラック企業である可能性が高いです。転職先でもまた退職代行サービスを利用するような事態になるかもしれないので注意しましょう。
退職代行終了~転職までに必要なもの
退職にあたって会社へ返却するものがあるように、会社から受け取るものもあります。退職時または退職後に受け取るものは以下の通りです。
- 離職票(雇用保険被保険者離職証明書)
- 雇用保険被保険者証
- 年金手帳
- 源泉徴収票
- 健康保険被保険者資格喪失確認通知書
これらの書類は退職後・転職後にも必要になる重要な書類なので必ず受け取ってください。ちなみに、勤めていた会社がブラック企業だったり、総務にあたるような人がいなくて適切に管理できていなかったりする場合、退職してもこれらの書類を受け取れない場合があります。このようなトラブルが起きると転職先にも迷惑がかかってしまうので、アフターフォローがある退職代行サービスを利用するのがおすすめです。
離職票
離職票は名前の通り退職したことを証明する書類です。既に転職先が決まっている場合には必要ありませんが、まだ転職ができておらず失業手当を受け取りたい場合には必ずもらってください。発行手続きに時間がかかるので、退職後(10日前後)に郵送してもらうのが一般的です。
雇用保険被保険者証
雇用保険は「週20時間以上の労働」と「31日以上の雇用」が見込まれる場合に適用されるものです。雇用保険は雇用先が変わっても引き継がれるものなので、退職時に会社から雇用保険被保険者証を受け取らなければいけません。受け取ったら速やかに転職先へ提出しましょう。
なお、これは会社側での保管が必須ではないので、入社時に渡される場合もあります。万が一紛失してしまった場合は、あなたが住んでいる地域を管轄するハローワークで再発行してもらいましょう。その際、被保険者番号が必要になるので、控えていない場合は会社への確認が必須です。
年金手帳
年金手帳は国民年金または厚生年金の被保険者であることを証明するものです。日本では20歳以上60歳未満のすべての人が国民年金への加入を義務付けられているので、20歳になると必ず1冊交付されます。厚生年金の被保険者であれば自動的に国民年金の納付もすることになるので、自分で保険料を払う必要はありません。
しかし、退職後に転職先が決まっていない場合は自分で国民年金に加入しなければなりません。また、転職先が決まっている場合は年金手帳を転職先に提出する必要があります。会社で保管されている場合には必ず返却してもらいましょう。自分で保管していて紛失してしまった場合は最寄りの社会保険事務所で再発行可能です。再発行には基礎年金番号の確認が必須なので、分からない場合は会社に問い合わせてください。
源泉徴収票
源泉徴収票とは、その年に会社から支払われた給与や賞与の合計と所得税が記載された書類です。年末調整に使用するので、退職したのと同じ年に転職した場合には転職先への提出が必須となります。また、年内に転職しなかった場合には自分で確定申告をしなければいけません。この時にも必要になるので、必ず会社から受け取りましょう。
なお、源泉徴収票は退職日に受け取れない書類です。とはいえ、中途退職の場合は退職日から1か月以内に源泉徴収票を交付するよう義務付けられているので、1か月過ぎても郵送されない場合には、前の会社に確認してみてください。
健康保険被保険者資格喪失確認通知書
退職時には健康保険証を会社へ返却します。すると健康保険被保険者資格喪失確認通知書が渡されるはずです。これを転職先へ提出することで、新しい健康保険証をもらえます。新規発行にかかる時間は通常1週間程度です。しばらく転職はしないという場合、自分で健康保険への加入手続きをしなければなりません。
家族の扶養に入る
任意継続健康保険に切り替える
自身の状況に合わせて3つのうちのどれかを選ぶ必要があります。家族の扶養に入る場合は離職票の提出のみでも構いませんが、どの選択肢においても健康保険被保険者資格喪失確認通知書の提出は必須です。
退職代行サービスを利用すると懲戒解雇になる?
退職代行についてよく知らない一部の人の間で、退職代行によって懲戒解雇になるという噂が流れているようです。中途退職には主に自己都合、会社都合、懲戒解雇の3種類があります。自己都合とは退職者自身の都合によるもので、自ら退職を申し出る場合です。一方、会社都合は経営不振によるリストラや倒産など、望まなくても退職を余儀なくされる場合になります。退職の理由が会社側にあるときは会社都合です。
懲戒解雇は自己都合・会社都合とは毛色が違います。懲戒解雇とは一言で表すと「クビ」になるということです。自分の意志にかかわらず退職しなければならない点は会社都合による退職と変わりませんが、退職の理由が会社側ではなく退職者側にある点で大きく異なります。何か不祥事を起こしたがために懲戒解雇という処分が下されるので、当然ながら世間からの評価は良くありません。転職活動にも影響が出ます。
退職代行サービスを利用することで懲戒解雇として扱われるのではと不安な方もいると思いますが、実際のところ退職代行が理由で懲戒解雇になることはありません。自己都合での退職として扱われます。ただし、会社のお金を着服した、何日も連続で無断欠勤したなど、明らかに会社側に実害が出ている場合や雇用契約を無視した場合などは、退職代行サービスを利用しても懲戒解雇とみなされるので注意しましょう。
転職サポートのある退職代行サービス
近年、退職代行サービスの数が急増していることもあり、差別化を図ろうと転職サポートを始める業者が出てきています。転職エージェントの紹介や求人紹介はもとより、退職代行事業で分かったブラック企業をリスト化し、それらを除いた優良企業を紹介してくれるという、退職代行サービスならではのサポートがあるところも!
そのほか、転職先が決まったらお祝い金をもらえたり、退職代行料金をキャッシュバックしてくれたりといった金銭面での特典がある退職代行サービスもあるので、退職後の転職活動や再就職に不安を抱えている方は、転職サポートも行ってくれる退職代行サービスの利用も検討してみてください。
もちろん、転職サポートを利用したからといって退職代行サービスの利用がバレることはありません。安心して転職活動に励めます。
退職代行サービスは転職を後押ししてくれる!
今回は退職代行サービスと転職について詳しくお伝えしてきました。ここまで説明してきた通り、退職代行サービスを利用したとしても転職への影響を心配する必要はありません。むしろ、会社とのゴタゴタを避けたり、転職サポートを受けられたりとメリットが大きいので、利用を迷っていた方はぜひ気になる退職代行サービスに相談してみてください。
「右のポケットに夢、左のポケットに辞表」
これは、大塚ベバレジ(現:大塚食品)の広告で使われていた言葉です。退職代行で拓ける未来があります。転職は夢への第一歩です。会社のために自分の気持ちを犠牲にしないでください。
転職への影響を不安に思っていた方にとって、この記事が退職代行サービスを利用するきっかけになればと思います。